あしなが奨学生、過去最多 コロナ禍で遺児家庭減収―「お金ない」悲痛な声
病気や災害、自死などで親を亡くした子らを支援する「あしなが育英会」奨学生が今年度、過去最多の8325人を記録した。背景にあるのは新型コロナウイルス禍だ。同会の調査によると、遺児家庭の収入が激減し、転職や離職を経験した保護者も2割に上った。
同会は10月20日~11月3日、高校奨学生の保護者3994人にアンケート調査を実施。2647人から回答を得た。
それによると、就業率は前回2018年調査の81%から74%に悪化。就業者でも6割近くは非正規雇用で、月平均の手取り収入は約14万7000円にとどまった。全体の20%がコロナ禍で転職や離職を経験した。うち雇い止めは半数近くを占め、「コロナにより仕事を辞めさせられました。子どもが大学進学したく奨学金を借りましたが、お金がありません」などの声が多数寄せられた。
取材に応じた神奈川県の40代女性は約11年前、夫に先立たれ、牛乳配達の仕事で2人の子を育ててきた。長男は働きながら高校を卒業し、社会人に。高校2年の長女は奨学金を受けつつ、アルバイトで家計を支えている。
暗転したのは、コロナ感染拡大の第5波さなかの今年8月末。女性は感染が判明し、9月1日に体調の急激な悪化で中等症向けの病院に搬送され、1カ月余り入院した。
この間、右目の視力も急速に衰えたが、コロナの治療を優先するため検査を受けられず、手遅れとなり失明した。車の運転はままならず退職を余儀なくされ、脱毛などの後遺症にも悩まされている。女性は「息子の収入も多くなく、娘の負担が心配。右目が見えなくてもできる仕事があるか不安だ」と明かす。
困窮を深める遺児家庭を支援しようと、今月11、12両日に札幌や名古屋、大阪、福岡など全国12都市で2年ぶりとなる街頭募金が行われた。東京・新宿の街頭に立った東北学院大4年の堀川琉さん(23)は「誰もが自己選択できる世の中になってほしい」と話し、幼い頃に父を亡くした大学4年の男子学生は「不幸は誰にでも起こり得る。遺児の問題を人ごとにしてほしくない」と訴えた。(2021/12/18-13:41)
"Ashinaga" Student Aid Recipients Hit Record amid Virus Crisis
The number of children receiving financial aid from the Ashinaga Foundation has hit a record high of 8,325 in fiscal 2021 amid the novel coronavirus crisis, according to the Japanese organization.
The foundation provides educational funding for children who have lost a parent or both parents due to illness, disaster or suicide. Many of the families of such children are in financial difficulties due to the pandemic.
According to a recent survey by the organization, which covered 3,994 parents or other guardians of high school students with aid from the group and received responses from 2,647 of them, the proportion of those having jobs stood at 74 pct, down from 81 pct in the previous 2018 survey, and their average disposable income in September stood at about 147,000 yen. Nearly 60 pct of those with jobs are nonregular workers.
About 20 pct of all respondents have changed or quit their jobs due to the COVID-19 fallout, with nearly half of them seeing their work contracts not renewed, according to the survey, conducted between Oct. 20 and Nov. 3.
"I was forced to quit my job because of the pandemic," one of the respondents said, adding: "My child, who wants to go to university, borrowed money from the Ashinaga program. We have little money now."
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