2021.11.25 14:35World eye
中国政府を風刺した曲が大ヒット 国内のネット上では「抹殺」
【香港AFP=時事】中国の専制主義的な指導部をちゃかしながら、商業的にも大ヒット──。ポップソング「玻璃心(フラジャイル)」は前代未聞と言えることをやってのけ、動画共有サイト「ユーチューブ」での再生回数は3000万回を超えている。(写真は台湾・台北で記者会見したマレーシア人ラッパーのネームウィー<左>と、オーストラリア人歌手のキンバリー・チェン)
標準中国語で歌われるポップス、いわゆる「マンドポップ」で中国政府について少しでも触れると、それだけでキャリアが終わってしまうこともある。だが、マレーシア人ラッパー、ネームウィーと、オーストラリア人歌手キンバリー・チェンのコラボソングはそんな流れにあらがった。
中国政府を風刺したラブソングが10月にリリースされると、数日後には、2人は中国の検閲当局によってインターネット上から存在を消し去られ、世界最大の中国語圏市場でブラックリストに入れられた。
しかしこの曲は、アジアの多くの人々、そして世界各地の中国系移民の間では支持され、大反響を呼んでいる。
台湾・台北にある国立台湾大学音楽学研究所の准教授、DJハットフィールド氏はブラックリスト入りについて、「検閲はしばしば最高の宣伝になります」とAFPに語った。
中国政府を皮肉ったこの曲を五つの点から見てみよう。
■ピンク色
「ガラスのハート」を意味するタイトルを持つこの曲は、背景を知らずに聞けば、甘ったるいバラードに聞こえるかもしれないが、ミュージックビデオにはイントロが流れる前に政治的な内容を示唆する警告が出てくる。
「傷つきやすいピンクの方は、ご注意ください」
この警告は、「小粉紅(シャオフェンフォン)」と呼ばれる中国の愛国的なネットユーザーに向けられている。
デュエットをする2人の衣装から、パンダが着ている迷彩柄のつなぎまで、動画はピンク(紅)色であふれている。パンダは、明らかに中国政府のことだ。キャッチーなサビのコーラスでは、傷つきやすくて批判に耐えられない相手に「ごめんね」という言葉が繰り返される。
■NMSL
ある場面ではネームウィーが「君は怒るとNMSLって言うよね」と歌いながら、ピンクのプールでパンダと格闘している。
中国の愛国主義者と彼らが標的にするネットユーザーの応酬を見ている人々にとって、「NMSL」はよく目にするフレーズで、「お前の母さんは死んだ」という意味の中国語の頭文字を並べたののしり言葉だ。
■「くまのプーさん」
この曲の主なターゲットは中国の愛国的なネットユーザーだが、矛先は習近平国家主席にも向けられている。
習主席は以前から児童書「くまのプーさん」のキャラクターに似ているとやゆされており、検閲当局はこのキャラクターに関するネット上の書き込みをしばしば削除している。
ネームウィーは、インターネット規制に違反すれば「くまのプーさん」に消されてしまうかもしれないと歌う。さらに習主席のスローガン「共同富裕」という表現や、新疆ウイグル自治区でイスラム系少数民族のウイグル人を収容している強制労働施設にも言及している。
■リンゴとパイナップル
ネームウィーは、「リンゴをのみ込み、パイナップルは切り落とす」とラップしている。
リンゴは香港で昨年施行された国家安全維持法(国安法)に基づき、廃刊に追い込まれた民主派日刊紙「蘋果日報(アップル・デーリー)」を指しているとみられる。
中国は今年3月、台湾産パイナップルの輸入を禁止した。パイナップルは、そのことを例えている。ネームウィーとチェンの2人は、中国がいつか掌握すると宣言している台湾を現在、活動拠点にしている。
■コウモリのスープ
歌詞には「あなたは犬、猫、コウモリ、ハクビシンが大好き」というフレーズも出てくる。動画の中でパンダは、コウモリのぬいぐるみが入っているスープをネームウィーに差し出す。
これは明らかに、コウモリから新型コロナウイルスの感染が広がったという説を指している。新型ウイルスの起源は今も不明だが、「コウモリのスープ」という言葉は新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)中、本土の中国人や国外に住む大勢のアジア人を攻撃する人種差別表現として使われた。
中国の共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、この曲がリリースされた3日後、「この悪質な歌は中国のネットユーザーの不興を買い、すぐに2人のアーティストは(視聴可能な)サイトから削除された」と報じた。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/11/25-14:35)
標準中国語で歌われるポップス、いわゆる「マンドポップ」で中国政府について少しでも触れると、それだけでキャリアが終わってしまうこともある。だが、マレーシア人ラッパー、ネームウィーと、オーストラリア人歌手キンバリー・チェンのコラボソングはそんな流れにあらがった。
中国政府を風刺したラブソングが10月にリリースされると、数日後には、2人は中国の検閲当局によってインターネット上から存在を消し去られ、世界最大の中国語圏市場でブラックリストに入れられた。
しかしこの曲は、アジアの多くの人々、そして世界各地の中国系移民の間では支持され、大反響を呼んでいる。
台湾・台北にある国立台湾大学音楽学研究所の准教授、DJハットフィールド氏はブラックリスト入りについて、「検閲はしばしば最高の宣伝になります」とAFPに語った。
中国政府を皮肉ったこの曲を五つの点から見てみよう。
■ピンク色
「ガラスのハート」を意味するタイトルを持つこの曲は、背景を知らずに聞けば、甘ったるいバラードに聞こえるかもしれないが、ミュージックビデオにはイントロが流れる前に政治的な内容を示唆する警告が出てくる。
「傷つきやすいピンクの方は、ご注意ください」
この警告は、「小粉紅(シャオフェンフォン)」と呼ばれる中国の愛国的なネットユーザーに向けられている。
デュエットをする2人の衣装から、パンダが着ている迷彩柄のつなぎまで、動画はピンク(紅)色であふれている。パンダは、明らかに中国政府のことだ。キャッチーなサビのコーラスでは、傷つきやすくて批判に耐えられない相手に「ごめんね」という言葉が繰り返される。
■NMSL
ある場面ではネームウィーが「君は怒るとNMSLって言うよね」と歌いながら、ピンクのプールでパンダと格闘している。
中国の愛国主義者と彼らが標的にするネットユーザーの応酬を見ている人々にとって、「NMSL」はよく目にするフレーズで、「お前の母さんは死んだ」という意味の中国語の頭文字を並べたののしり言葉だ。
■「くまのプーさん」
この曲の主なターゲットは中国の愛国的なネットユーザーだが、矛先は習近平国家主席にも向けられている。
習主席は以前から児童書「くまのプーさん」のキャラクターに似ているとやゆされており、検閲当局はこのキャラクターに関するネット上の書き込みをしばしば削除している。
ネームウィーは、インターネット規制に違反すれば「くまのプーさん」に消されてしまうかもしれないと歌う。さらに習主席のスローガン「共同富裕」という表現や、新疆ウイグル自治区でイスラム系少数民族のウイグル人を収容している強制労働施設にも言及している。
■リンゴとパイナップル
ネームウィーは、「リンゴをのみ込み、パイナップルは切り落とす」とラップしている。
リンゴは香港で昨年施行された国家安全維持法(国安法)に基づき、廃刊に追い込まれた民主派日刊紙「蘋果日報(アップル・デーリー)」を指しているとみられる。
中国は今年3月、台湾産パイナップルの輸入を禁止した。パイナップルは、そのことを例えている。ネームウィーとチェンの2人は、中国がいつか掌握すると宣言している台湾を現在、活動拠点にしている。
■コウモリのスープ
歌詞には「あなたは犬、猫、コウモリ、ハクビシンが大好き」というフレーズも出てくる。動画の中でパンダは、コウモリのぬいぐるみが入っているスープをネームウィーに差し出す。
これは明らかに、コウモリから新型コロナウイルスの感染が広がったという説を指している。新型ウイルスの起源は今も不明だが、「コウモリのスープ」という言葉は新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)中、本土の中国人や国外に住む大勢のアジア人を攻撃する人種差別表現として使われた。
中国の共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、この曲がリリースされた3日後、「この悪質な歌は中国のネットユーザーの不興を買い、すぐに2人のアーティストは(視聴可能な)サイトから削除された」と報じた。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/11/25-14:35)
2021.11.25 14:35World eye
A breakdown of 'Fragile', the viral pop song poking China
With more than 30 million YouTube views, the song Fragile has done something previously unthinkable -- become a commercial success while sending up China's authoritarian leaders.
In the Mandopop industry, poking Beijing can end careers. But Malaysian rapper Namewee and Australian singer Kimberley Chen have bucked that trend.
Days after their tongue-in-cheek love song dropped last month, Beijing's censors scrubbed their online presence, ensuring their blacklisting in the world's largest Mandarin-speaking market.
But across much of Asia and the global Chinese diaspora, the song struck a chord.
It's an incredibly clever song, the tune is catchy, and the performance is spot on, DJ Hatfield, an associate professor at the Graduate Institute of Musicology at National Taiwan University in Taipei, told AFP.
As for blacklisting, often censorship is the best advertisement.
Here are five ways the song mocks China.
- Little Pink -
To the uninitiated, Fragile sounds like any other saccharine ballad. But even before the music starts the politics are made clear with a warning: Please be cautious if you are fragile pink.
The phrase is a reference to little pinks -- a term for China's online army of nationalist commenters, who go in to bat against any perceived slight.
The music video's set is awash with pink, including the clothes Namewee and Chen wear as well as a giant panda -- a clear reference to China -- dancing in pink camouflage overalls.
The catchy chorus meanwhile centres around apologising to someone who is fragile and cannot take criticism.
- NMSL -
At one point in the song, Namewee wrestles with the giant panda in an empty pink swimming pool while singing the line You say NMSL to me when you get angry.
For anyone observing online tussles between China's nationalists and their latest target, the phrase NMSL is ubiquitous.
It stands for ni ma si le -- or in simple English your mum is dead -- and is often left in online comments.
Last year a flame war erupted between Chinese and Thai netizens over a Thai celebrity's comments about the coronavirus.
Thai internet users started to subvert the phrase, creating a host of viral memes that portrayed China's nationalists as automatons who instantly type NMSL whenever they spot something online they disagree with.
- Winnie the Pooh -
While the main target of the song is China's nationalist netizens, President Xi Jinping is not spared.
He has long been satirised as looking like the children's book character Winnie the Pooh -- China's censors often remove online references to the character.
Namewee sings how Winnie the Pooh might disappear people who breach China's internet restrictions, namechecks Xi's common prosperity drive and references forced labour camps for Muslim minorities in Xinjiang province.
- Apples and pineapples -
At one point Namewee raps how the subject of his song swallows the apple, cuts off the pineapple.
The first is seen as a reference to Hong Kong's Apple Daily newspaper, a pro-democracy tabloid that collapsed after its assets were frozen and multiple executives detained under a national security law.
The second fruit refers to China's recent decision to ban imports of pineapples from Taiwan, the self-ruled island which Beijing claims and has vowed to one day seize.
Taipei said the surprise decision, just as the harvest loomed, was a pressure tactic by China -- although the ban backfired as Taiwanese and Japanese consumers snapped up the surplus fruits.
Namewee and Chen are both currently based in Taiwan.
- Bat soup -
While the song mostly lampoons Beijing and its digital defenders, Namewee and Chen's lyrics also reference Chinese people's supposed desiring for dogs, cats, bats and civets.
As that lyric is sung, the giant panda offers Namewee a steaming pot of soup with a cuddly bat stuffed toy inside, in clear reference to the idea -- widely debunked -- that bat soup started the coronavirus.
The origin of the coronavirus remains unclear and the World Health Organization says it has been harder to pin down because of China's official opacity.
But the bat soup trope has also often been weaponised against both mainland Chinese and many Asian communities living overseas during this pandemic amid a surge of racist attacks and insults.
That element was one of many seized on by China's state media as it announced the blacklisting of Namewee and Chen.
The malicious song was released to the displeasure of Chinese netizens and soon led to the delisting of the two artists, China's state-run tabloid the Global Times wrote three days after the song's release.
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