2021.11.24 13:20World eye
遺伝子操作はサンゴを気候変動から救えるか 米研究
【マイアミAFP=時事】米フロリダ州の研究所で金色に輝く小さなサンゴ。ここでは気候変動からサンゴを守るための緊急手段が試されている。(写真は米マイアミ大学ローゼンスティール海洋大気科学学校で研究されるサンゴ)
科学者らは、気候の影響を受けにくい種から取り出した幹細胞を、影響を受けやすい種に移植することで、海水の温度上昇や酸性化からサンゴを救えるかどうかを見極めようとしている。つまり地球温暖化問題は、ある生命体を存続させるためにその遺伝子に手を加えようとする段階にまで達したのだ。
米マイアミ大学の研究チームを率いるニッキー・トレイラーノウルズ氏は「サンゴ礁は驚異的な速さで死んでいます。気候変動についていけないのです」とAFPに語った。
この研究はサンフランシスコ近郊を拠点に活動する米環境保護NPO「リバイブ・アンド・リストア」の支援を受けている。動植物を絶滅から救う上で、遺伝子操作は有効な手段だというのが同NPOの見解だ。
共同創始者のライアン・フェラン氏は「生物種が進化によって適応するのを手助けしているような時間的猶予はありません」と訴える。「私たちが介入せざるを得ません。さもなければ(危機にひんした種を)失うことになります」
とりわけサンゴの救出は緊急を要している。温室効果ガス排出で生じる熱の90%以上を吸収するのは海だからだ。その結果、陸上は熱波から保護されるが、より強大で長期にわたる海洋熱波が生じる。これによって、生物多様性に富み「海の熱帯雨林」とも呼ばれるサンゴの多くの種が耐えられなくなる。
■「私たちが試みるべきこと」
「地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(GCRMN)」が行った過去最大の調査によると、地球温暖化に加えて環境汚染やダイナマイト漁の影響もあり、2009~2018年に世界のサンゴ礁の14%が消滅した。
リバイブ・アンド・リストアでは、環境保護におけるバイオテクノロジーツールの開発支援用に800万ドル(約9億円)の基金を準備したが、その半分以上がサンゴ関連プロジェクトに投入された。
同NPOのコーディネーターを務めるブリジット・バウムガートナー氏は「サンゴ用に開発されたツールは、他のさまざまな海洋生物向けにも汎用(はんよう)化できると私たちは考えています」と説明する。「ツールを簡単に調節して、海藻類やカキ、ヒトデなどの問題にも対処できればと願っています」
もちろん遺伝子操作に対する懸念はある。米スタンフォード大学・法とバイオサイエンスセンター所長のヘンリー・グリーリー氏は、遺伝子操作による奇形のリスクや、変異した動植物が自然界で予期せぬ結果を引き起こす可能性を指摘する。
それでも生物種を滅亡から救うためには、この技術を使う価値があると同氏は考えている。「私はこのアプローチのファンです。ただし注意深く行うこと、適切な規制や慎重さが必要でしょう」
米国の生命倫理研究所「ヘイスティングスセンター」の研究員、グレゴリー・ケブニック氏も、生物を守るための遺伝子操作を支持している。
同氏は遺伝子操作によって生物に異常が起きる可能性よりも、持続的で効果的な変化を全く起こせない可能性の方が高いと指摘する。「操作によってサンゴが生き延びる見込みについてはそれほど期待しませんが、これは私たちが試みるべきことではないでしょうか」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/11/24-13:20)
科学者らは、気候の影響を受けにくい種から取り出した幹細胞を、影響を受けやすい種に移植することで、海水の温度上昇や酸性化からサンゴを救えるかどうかを見極めようとしている。つまり地球温暖化問題は、ある生命体を存続させるためにその遺伝子に手を加えようとする段階にまで達したのだ。
米マイアミ大学の研究チームを率いるニッキー・トレイラーノウルズ氏は「サンゴ礁は驚異的な速さで死んでいます。気候変動についていけないのです」とAFPに語った。
この研究はサンフランシスコ近郊を拠点に活動する米環境保護NPO「リバイブ・アンド・リストア」の支援を受けている。動植物を絶滅から救う上で、遺伝子操作は有効な手段だというのが同NPOの見解だ。
共同創始者のライアン・フェラン氏は「生物種が進化によって適応するのを手助けしているような時間的猶予はありません」と訴える。「私たちが介入せざるを得ません。さもなければ(危機にひんした種を)失うことになります」
とりわけサンゴの救出は緊急を要している。温室効果ガス排出で生じる熱の90%以上を吸収するのは海だからだ。その結果、陸上は熱波から保護されるが、より強大で長期にわたる海洋熱波が生じる。これによって、生物多様性に富み「海の熱帯雨林」とも呼ばれるサンゴの多くの種が耐えられなくなる。
■「私たちが試みるべきこと」
「地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(GCRMN)」が行った過去最大の調査によると、地球温暖化に加えて環境汚染やダイナマイト漁の影響もあり、2009~2018年に世界のサンゴ礁の14%が消滅した。
リバイブ・アンド・リストアでは、環境保護におけるバイオテクノロジーツールの開発支援用に800万ドル(約9億円)の基金を準備したが、その半分以上がサンゴ関連プロジェクトに投入された。
同NPOのコーディネーターを務めるブリジット・バウムガートナー氏は「サンゴ用に開発されたツールは、他のさまざまな海洋生物向けにも汎用(はんよう)化できると私たちは考えています」と説明する。「ツールを簡単に調節して、海藻類やカキ、ヒトデなどの問題にも対処できればと願っています」
もちろん遺伝子操作に対する懸念はある。米スタンフォード大学・法とバイオサイエンスセンター所長のヘンリー・グリーリー氏は、遺伝子操作による奇形のリスクや、変異した動植物が自然界で予期せぬ結果を引き起こす可能性を指摘する。
それでも生物種を滅亡から救うためには、この技術を使う価値があると同氏は考えている。「私はこのアプローチのファンです。ただし注意深く行うこと、適切な規制や慎重さが必要でしょう」
米国の生命倫理研究所「ヘイスティングスセンター」の研究員、グレゴリー・ケブニック氏も、生物を守るための遺伝子操作を支持している。
同氏は遺伝子操作によって生物に異常が起きる可能性よりも、持続的で効果的な変化を全く起こせない可能性の方が高いと指摘する。「操作によってサンゴが生き延びる見込みについてはそれほど期待しませんが、これは私たちが試みるべきことではないでしょうか」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/11/24-13:20)
2021.11.24 13:20World eye
Desperate US bid to engineer corals for climate change
A bit of coral shimmers like gold in a US lab as part of urgent work to help the species protect itself from climate change, an effort even skeptical experts see as sadly justifiable.
Researchers in Florida are aiming to determine whether coral can be saved from rising water temperatures and acidification by transplanting stem cells from resistant varieties to those more vulnerable to climate impacts.
In other words, global warming worries have reached a point that scientists are trying to tweak some organisms' genetics so that they might survive.
Reefs are dying at an alarming rate and they are not able to keep up with climate change, Nikki Traylor-Knowles, who heads a University of Miami team working on the coral, told AFP.
At this point, we've just got to try everything and see what works, she said before nations gathered at the COP26 summit in Glasgow -- seen as a last chance to halt catastrophic climate change.
The Florida research is one of a handful of efforts backed by Revive and Restore, a non-profit based near San Francisco that sees genetic engineering as a valuable tool for conservationists working to save plants and animals from doom.
Organisms on Earth have survived in the long run by gradually evolving, or moving to places where the land, habitat or temperature are more hospitable. Climate change is altering the environment too quickly for that to work.
We don't have evolutionary time to help species make that kind of adaptation, Revive co-founder Ryan Phelan told AFP at a California conference.
We're going to have to intervene, or we have to let it go, she said.
The concern for coral is particularly pressing because oceans absorb more than 90 percent of the excess heat from greenhouse gas emissions, shielding land surfaces but generating huge, long-lasting marine heatwaves.
- 'We may have to do it' -
These are pushing many species of coral -- often dubbed the rainforests of the oceans for their rich biodiversity -- past their limits of tolerance.
Along with pollution and dynamite fishing, global warming wiped out 14 percent of the world's coral reefs between 2009 and 2018, according to a survey by the Global Coral Reef Monitoring Network, the biggest ever carried out.
More than half of an $8 million Catalyst Science Fund for backing biotechnology tools to help solve conservation's most intractable problems is being poured into coral projects.
Our thinking is the tools we develop for coral will be generalizable for other marine species, said Bridget Baumgartner, who coordinates coral projects at Revive.
We hope we can easily translate them to problems with kelp, oysters, sea stars, what have you.
Genetic projects backed by Revive and Restore elsewhere in the United States have yielded a black-footed ferret named Elizabeth Ann, cloned from frozen cells decades old, and which could be the salvation of her species.
And a yearling called Kurt being cared for in a California zoo is a resurrected Przewalski wild horse, which had gone extinct.
Though neither are connected to climate change, the creatures' existence are key to the group's argument in favor of their genetic work.
Certainly genetic tinkering raises concerns, said Stanford University law and biosciences director Henry Greely, citing potential for deformations or an altered plant or animal causing unexpected consequences in the wild.
Yet he sees saving species, including coral, from decimation as worthy uses of the technology.
I'm a fan of this approach, if it's done carefully, with appropriate regulation and prudence, Greely said of adding genetic technology tools to conservation efforts.
Gregory Kaebnick, a scholar at bioethics research institute The Hastings Center also supported creature-protecting tweaks, and noted the risk of a creation running amok was lower than simply failing to impart durable, effective changes.
I'm not excited about the prospect of changing coral to let them survive, but it might be something that we have to do, he added.
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