デルタ株まん延、遠い収束 「集団免疫」困難か―新型コロナ
全国の重症者数が最多となり、1日当たりの新規感染者も2万人を超えた新型コロナウイルス。過去最悪の「第5波」は、感染力が極めて強いインド由来のデルタ株まん延が最大の要因だ。ワクチン接種だけでは猛威を抑え切れないとみられ、流行収束の見通しは立たない。
国立感染症研究所によると、デルタ株の感染力は従来株の約2倍で、第4波で猛威を振るった英国由来のアルファ株の約1.5倍と推計される。重症化リスクなども従来株より高いとされるが、詳細は不明だ。
感染力については、感染者1人が他の8~10人程度に広める水痘(水ぼうそう)に匹敵するとの報告もある。感染研によると、感染拡大が進んだ結果、陽性者に占める割合は関東では90%以上、関西では80%に達したと推定される。
感染拡大防止策としては、ワクチン頼みなのが現状だ。接種が進むワクチンは、発症予防や重症化予防の効果は高いとされる。政府によると、接種(2回)は今月上旬までに、65歳以上の高齢者では8割超が完了した。一方、国民全体では3割強にとどまるため、感染は未接種の20~40代を中心に広がっている。
ただ、接種が進んでも、感染連鎖を食い止める「集団免疫」の達成は難しいとされる。従来株なら6~7割の接種率で達成されるとみられたが、水痘並みに感染力が強いデルタ株では、8~9割の接種率が必要との見方もあるからだ。
感染研の脇田隆字所長は「8、9割の接種率でもどうなるか分からない。接種が進む英国やイスラエルなどの状況を見る必要がある」と慎重な見解を示す。感染症の専門家は「日本はデルタ株への危機感が低い。流行のピークは不明で、ワクチン効果が低いとの指摘もある。集団免疫は期待できないかもしれない」と指摘している。(2021/08/14-10:31)
Delta Variant Clouds Outlook for Coronavirus Crisis in Japan
Experts see no prospect of the novel coronavirus epidemic being contained in Japan despite progress in COVID-19 vaccinations, due to the spread of highly infectious delta variant.
The delta variant, first identified in India, is the main cause of the ongoing fifth and the worst wave of coronavirus infections in Japan, where the number of severely ill patients rose to a record 1,478 and new infection cases topped 20,000 for the first time on Friday.
According to the National Institute of Infectious Diseases, the delta variant is estimated to be about twice as infectious as the original strain, and some 50 pct more transmissible than the alpha strain, first detected in Britain, which was rampant during the fourth wave of infections earlier this year.
Also, the delta variant is said to be have a higher risk of causing severe symptoms than the conventional strain, although details are not known.
One report suggests the delta strain is as infectious as chicken pox, which spreads from one infected person to eight to 10 others.
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