2021.08.12 07:05Nation

五輪経費増、都が負担? 小池知事は「国と協議」―無観客で900億円消失

 新型コロナウイルスの影響で1年延期され、大半の会場が無観客となった異例の東京五輪。900億円を見込んだチケット収入はほぼ消える見通しで、パラリンピックを含めた収支は赤字の可能性が高い。招致時の資料には「大会組織委員会が資金不足に陥った場合は東京都が補填(ほてん)する」と記されているが、小池百合子知事は「決算時点で関係者と協議する」と言及。国との交渉に持ち込む構えだ。
 組織委と都、国が分担する両大会の経費は、昨年末段階で延期や感染対策の費用2940億円を加え、計1兆6440億円となった。都の負担は現状で7170億円で、関連事業を含めると1兆4500億円に上る。これらにチケットの減収分などは含まれていない。パラリンピック終了後に決算作業に入るが、組織委の武藤敏郎事務総長は7月、収支について「整わないことは、まず間違いない」と述べ、赤字の見通しを示した。
 「取り決めは取り決めでありますが…」。小池氏は今月6日の記者会見で、都による赤字補填を問われ、こう切り出した。続けて「チケット収入だけでなくいろいろな決算をした上で、関係者がそろって協議をしていく」。ただ、丸川珠代五輪担当相は5月、「都の財政規模を踏まえると、補填できない事態はおよそ想定しがたい」と述べ、国の肩代わりには否定的だ。
 小池氏の発言の背景には、都の急激な財政悪化がある。都はこれまでコロナ対策費として、約1兆6000億円を単独で支出。都の「貯金」である財政調整基金は2019年度末の9300億円から現在は2500億円まで落ち込んだ。税収も大幅に減り、都幹部は「この状況で何もせず見過ごすわけにはいかない」。赤字発生時は国にも負担を求める考えだ。
 さらなる悩みも。都が五輪のため新たに整備した6施設のうち5施設が赤字運営の見込みとなるためだ。特に水泳競技の「東京アクアティクスセンター」(江東区)の収支は年6億円超のマイナスに。都議会は両大会を検証する特別委員会を設置する予定で、都議の1人は「負のレガシー(遺産)も徹底的に洗い出す必要がある」と話す。(2021/08/12-07:05)

2021.08.12 07:05Nation

Tokyo Governor Wants Japan Govt to Share Losses from Olympics


Tokyo Governor Yuriko Koike plans to have the Japanese government shoulder some of the possible losses stemming from the Olympics, which took place with almost no spectators amid the COVID-19 pandemic.
   "We'll consult with people concerned" after the financial results of the Tokyo Olympics and Paralympics come out, Koike said at a press conference earlier this month.
   The total cost of the Tokyo Olympics and Paralympics to be shouldered by the organizing committee, the metropolitan government and the central government was estimated at 1,644 billion yen as of the end of 2020.
   Currently, the metropolitan government is set to shoulder 717 billion yen of the total. The figure will swell to 1.45 trillion yen when related projects are included.
   But those calculations do not reflect the loss of revenue from ticket sales that was initially projected at 90 billion yen.

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