南スーダン選手、競技スタート 滞在1年9カ月「もはや群馬代表」〔五輪・陸上〕
前橋市で事前キャンプを続けてきた東京五輪の南スーダン選手団が2日、陸上競技の予選に出場した。選手らの滞在は、五輪延期を経て1年9カ月近くに及んだ。市の支援を受け黙々と練習を重ねてきた姿に、「もはや群馬、前橋代表だ」との声も上がる。支えてきた市民らは「堂々と戦って」と健闘を祈る。
2日の女子200メートル予選には、モリス・ルシア選手(20)が出場したものの、準決勝進出はかなわなかった。グエム・アブラハム選手(22)は3日の男子1500メートル予選を走る。
選手やコーチら5人は2019年11月に来日したが、政情が不安定で新型コロナウイルスの影響を受ける南スーダンに戻るリスクは大きく、選手らは日本での練習継続を希望。前橋市も、ふるさと納税で滞在費を集めるなどして支援した。
前橋市の会社員矢作真美さん(38)は、来日から3カ月後の2020年2月にアブラハム選手と出会った。長男(4)を「高い高い」と抱き上げてくれたことをきっかけに自宅へ招くようになり、慣れない異国での生活をサポートした。間違えて購入したみそを、欲しかったピーナツバターと交換してあげたこともあった。
アブラハム選手は長女(11)と次女(9)の持久走の練習に顔を出し、走り方などを教えてくれた。指導のかいあって、長女は昨年、学校内の大会で初めて入賞した。矢作さんは「アブラハムとの毎日は面白いことの連続だった。子どもたちにとっても良い経験になったと思う」と振り返る。
本番直前の7月29日、アブラハム選手から選手村の消印で手紙が届いた。「充実した練習ができている。本番ではベストを尽くす」とつづられていた。矢作さんは「順位は関係ない。南スーダン代表として堂々と戦ってほしい」と祈るように話した。
同市の会社員山岸正範さん(44)は、来日当初からコーチとしてルシア選手の指導に当たった。五輪延期が決まってからの1年間はウエートトレーニングも取り入れ、試合前の調整方法などを身ぶり手ぶりで伝えた。
外部との接触を遮断するバブル方式などのため、山岸さんは選手らに同行できず、本番を市内の勤務先で迎える。「やれることは全てやった」と言い切り、「あとは自分を信じて頑張ってほしい」と力を込めた。(2021/08/02-13:51)
Maebashi Citizens Cheer On South Sudanese Runners
Citizens of Maebashi, Gunma Prefecture, are cheering on South Sudanese runners at the Tokyo Olympics after they stayed almost 21 months in the eastern Japan city in the lead-up to the Games.
Lucia Moris, 20, ran in the women's 200-meter event Monday but failed to advance to the semifinals. Abraham Guem, 22, is slated to run in the men's 1,500-meter event Tuesday.
The South Sudanese athletes and coaches arrived in Japan in November 2019 to train in Maebashi.
In March 2020, a one-year delay of the Olympics to summer 2021 was decided due to the novel coronavirus pandemic.
But the delegation sought to stay in the city, in view of the political instability and spread of the coronavirus back in South Sudan.
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