感染対策、ワクチン接種が鍵 政府「1カ月後には好転」
新型コロナウイルスのリバウンド(感染再拡大)に歯止めがかからないまま、政府は23日の五輪開幕を目前に東京都で4度目の緊急事態宣言発令に追い込まれた。ただ、変異株の広がりや「自粛疲れ」の影響で、感染対策としての効果は未知数。菅義偉首相が推し進めるワクチン接種が、今後の感染状況改善の鍵を握りそうだ。
都内のリバウンドでは、これまでのところ高齢者の感染者の割合が低く抑えられている。7日の厚生労働省専門家会議の資料によると、65歳以上の新規感染者割合は直近の数値で5.7%。3月から5月にかけて2割から1割程度で推移していたが、6月以降はおおむね低下が続いた。全国的にも同様の傾向だ。
重症化しやすい高齢者の感染を防げれば、病床など医療体制の余裕にもつながる。政府は改定した基本的対処方針で、「新規感染者数に占める高齢者の割合が低い水準になるなど、ワクチン効果が示唆される」と指摘。専門家も「高齢者のワクチン接種が進み、重症化は少しずつ抑えられている」(尾身茂・政府分科会会長)と効果を認める。
トップダウンで接種を主導する首相は、ここにきて「ワクチン頼み」の姿勢を鮮明にしている。8日の記者会見で「感染対策の決め手となるのがワクチンだ」と強調。「ワクチン接種によってかつての日常を取り戻すことができる」と訴えた。
裏を返せば、ワクチン接種でつまずけば感染対策は行き詰まりかねず、ひいては衆院解散・総選挙をにらんだ政権運営を左右する可能性も否定できない。
政府は希望する高齢者全員への接種を7月末までに完了させ、新たな宣言期限の8月22日には「現在の欧州に近い状況まで接種が進む」(西村康稔経済再生担当相)と見込む。欧州では新規感染者数は増加しても、重症者や死者の数は抑えられているとされる。ワクチン接種を終えた人の行動制限の在り方も今後、検討を進める方針だ。首相周辺は「あと1カ月で状況はがらりと変わる。これが最後の宣言だ」と期待を込める。
ただ、接種の実務を担う自治体の現場では、ワクチン供給が追い付かず、接種の予約を停止する事例が相次ぐなど、混乱も生じている。都内では接種が進んでいない40~50代の入院・重症者の増加も報告され、全国的な感染拡大につながれば、接種スケジュールに影響が及ぶ恐れもある。(2021/07/09-07:10)
Fate of Japan's COVID-19 Response Up to Vaccinations
The fate of the Japanese government's measures against the novel coronavirus epidemic hinges on vaccination efforts, as the country prepares to impose its fourth state of emergency on Tokyo less than two weeks before the start of the Olympic Games.
The resurgence of the virus in the Tokyo metropolitan area forced the administration of Prime Minister Yoshihide Suga to declare another state of emergency ahead of the Tokyo Games' opening ceremony on July 23. The emergency will be in place from Monday.
It is unclear whether the latest move will be effective in preventing infections, due to the spread of variant strains and public reluctance to continue self-restraint.
Infections among elderly people have remained low during the latest COVID-19 resurgence in Tokyo. According to data submitted to a meeting of the health ministry's expert panel on Wednesday, the share of infection cases involving those aged 65 or older stand at around 5.7 pct, much lower than the roughly 10 pct to 20 pct in March through May.
Similar trends have been observed across the country.
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