上場企業、希望退職1万人超 大半赤字、コロナ禍の傷深く
新型コロナウイルス禍の長期化を受け、上場企業による希望・早期退職の募集が増えている。2021年に入ってからの募集人数の合計は6月上旬、昨年より3カ月早く1万人を超えた。募集企業数はアパレル、観光業など50社に上り、うち約7割は赤字だった。ワクチン接種が進むにつれ消費も回復に向かうとみられるが、3度に及ぶ緊急事態宣言の傷は深い。
経営体力が続かなければ退職者募集がさらに増える恐れもあり、時間との勝負となっている。
東京商工リサーチの集計では、希望・早期退職を募集した50社のうち、業種別ではアパレル・繊維製品の8社が最多だった。生産拠点や事業集約を進めた電気機器が7社で続くが、多くは観光や運送、外食といった、コロナ禍による外出自粛や営業時間短縮・休業要請の影響を受けた企業だ。
同社によると、訪日外国人需要の追い風をコロナ前に受けていた観光業では、希望退職は過去10年なかった。航空、鉄道を含む運送の募集は8年ぶりだ。
少子高齢化でコロナ前から市場が縮小していたアパレルでは、百貨店の休業などが業績を圧迫している。ワールドは昨年9月に続き、今年3月にも希望退職を募集。三陽商会は昨年12月に早期退職を募ったが、感染再拡大を受けて希望退職に踏み込んだ。大江伸治社長は3度目の宣言に関し、「(百貨店などの)店舗休業までは想定していなかった」と漏らした。
グループ全体で社員の約2割、1439人に及ぶ希望退職の応募があったKNT―CTホールディングスは、傘下の近畿日本ツーリストをコロナ禍が直撃。親会社や取引銀行の資本支援で急場をしのぎ、ワクチン接種の進展による国内旅行需要の復活に期待する。米田昭正社長は5月の決算記者会見で、「残った者の責任として、会社を生き残らせる」と決意を示した。(2021/06/12-07:20)
Over 10,000 Workers Offered Early Retirement in Japan
The number of employees offered voluntary early retirement by listed companies in Japan has exceeded 10,000 so far this year, three months faster than in 2020, a private survey has shown.
Fifty companies have made such offers, and about 70 pct of them have reported net losses, according to Tokyo Shoko Research Ltd.
A growing number of companies are moving to trim their workforces as the novel coronavirus crisis drags on. The situation will get worse if the epidemic continues to strip businesses of their strength, even though consumption is likely to recover as the vaccination rollout progresses.
Of the 50 companies, eight were apparel and textile goods companies, the largest share by sector. Electronics makers came second at seven, as they shed production bases and consolidated operations.
Many other companies were tourism, transportation and restaurant companies, all hit hard by coronavirus restrictions, such as voluntary restraints on going out, shop closures and shorter operating hours.
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