「見えない恐怖、偏見に」 差別体験、コロナと重ね―ハンセン病元患者聖火ランナー
ハンセン病の元患者、松本常二さん(89)が18日、東京五輪の聖火ランナーとして車いすで高松市内を走った。ハンセン病と新型コロナウイルスを重ね合わせ、目に見えない感染症への恐怖が生む偏見を危ぶむ松本さんは、走る姿を見てもらったことで「偏見や差別が一つでも減ったら」と願う。
小学5年生の時にハンセン病の兆候が表れ、国立療養所「大島青松園」(同市)に入所した。病気が分かると音信不通になった同級生もいた。「らい予防法」(1996年廃止)による隔離政策のため外出できず、64年の東京五輪はラジオで聞いた。「非常に劣悪な差別を受けて生きてきた」と振り返る。
コロナ禍について、「見えないものにみんな恐怖を感じる。どこかですれ違って感染するかもと。それが偏見や差別につながる」と自身の体験と重ねる。
ランナーに選ばれたことを「非常に貴いこと」と感じ、ハンセン病への偏見や差別が薄れてきたと感じている。元患者には戸籍や本名を捨てた人も多く、松本さんも療養所で偽名を使ってきたが、リレーには本名で参加した。
感染拡大により五輪開催を危ぶむ声も上がる状況だが、「平たんな道を走るだけじゃなく、山あり谷ありのところから平和の祭典が行われることが必要。難問を切り抜け、支え合い協力して開催することで世界が開ける」と期待している。
病気の後遺症で視力を失ったが、並走する療養所職員と共にトーチを持って走り切った。出走を終え、「生涯ただ一つの大きなイベントに参加できたことをうれしく思う。(聖火は)世界につながる道。みんな思いは一つだと信じている」と力強く語った。(2021/04/19-07:02)
Ex-Leprosy Patient Carries Olympic Torch, Calls for No Discrimination
Former leprosy patient Tsuneji Matsumoto wished for a world free of prejudice and discrimination as he carried the Tokyo Olympic torch on Sunday in Takamatsu, Kagawa Prefecture, western Japan.
Matsumoto, 89, who lost his sight in the aftermath of the disease, bore the flame through his section in a wheelchair, side by side with staff of National Sanatorium Oshima Seishoen for leprosy patients.
After developing signs of leprosy when he was an elementary school fifth-grader, Matsumoto was moved to the sanatorium in the city.
"I was discriminated very badly in my life," said Matsumoto, who had not been able to go out under a now-defunct law that had mandated the isolation of leprosy patients. He lost contact with some classmates after developing the disease.
"All people are afraid of things that they can't see," Matsumoto said, comparing his own experience to the coronavirus pandemic. "That leads to prejudice and discrimination," he said.
最新ニュース
写真特集
-
【高校通算140本塁打の強打者】佐々木麟太郎
-
【駅伝】第101回箱根駅伝〔2025〕
-
【野球】慶応大の4番打者・清原正吾
-
【競馬】女性騎手・藤田菜七子
-
日本人メダリスト〔パリパラリンピック〕
-
【近代五種】佐藤大宗〔パリ五輪〕
-
【アーティスティックスイミング】日本代表〔パリ五輪〕
-
【ゴルフ】山下美夢有〔パリ五輪〕