霞が関、深刻な「地盤沈下」 接待問題で大量処分―官邸主導弊害も
国家公務員倫理法に違反する利害関係者からの接待を受けていたとして、総務省、農林水産省で幹部らが大量処分された。総務省時代に高額接待を受けた山田真貴子氏は1日、内閣広報官を辞職。学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんをはじめ、官僚のモラルが問われる不祥事が相次ぐのはなぜか。官邸主導の弊害が官僚機構の地盤沈下を招いているとの見方も出ている。
◇法や常識上回る力
接待問題で総務省は総務審議官ら11人を処分。農水省では、贈収賄事件で在宅起訴された吉川貴盛元農水相と鶏卵生産会社「アキタフーズ」の前代表の会食に同席していた事務次官ら6人が処分された。
総務省では2016年以降、山田氏を含む計13人が菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」幹部らと会食。飲食代を負担してもらったり、一部の会合で手土産やタクシー券を受け取ったりしていた。
同省は、放送行政を担う幹部が同社幹部らと会食を繰り返していた理由を「利害関係者と思っていなかったようだ」と説明。延べ39回の会食のうち21回に同席した首相の長男については「会食に影響を及ぼした事実は確認できなかった」と結論付けた。
しかし同省は、総務相を経験した首相の強い影響力が及ぶ官庁で知られ、官僚の間では「総理の息子でなければ接待を受けていない」との声が絶えない。早稲田大大学院教授で元総務相の片山善博氏は「菅さんは『(長男とは)別人格だ』と言うが、それは通用しない。みんな忖度(そんたく)するわけだから」と推測する。
7年8カ月続いた安倍前政権では、省庁の人事権を内閣人事局に集めるなど、官邸主導のスタイルが定着。森友問題では、人事を握られた官僚による官邸への忖度が取り沙汰された。
ある省庁次官OBは「昔の官僚には『国民のために働く公僕』の自負があったが、今は政治家の方を向いて仕事をするようになってしまっている」と指摘。片山氏も「正論を言ったら外されるから、言わなくなる。法律や常識を上回る力が働いているということだ」と、行き過ぎた官邸主導が官僚を萎縮させているとの見方を示す。
◇若手の離職止まらず
省庁では若手官僚の離職も深刻な問題だ。内閣人事局によると、19年度に自己都合で退職した20代の国家公務員総合職は87人。退職者数は増加傾向にある。ある若手官僚は「理不尽を受け止めることばかりで、閉塞(へいそく)感しかない」と下を向く。
幹部候補となる国家公務員総合職の20年度採用試験では、東京大出身の合格者数が大幅に減り、記録が残る1998年度以降で最も少なかった。片山氏は「権力の座に就いている政治家の質が劣化しており、それに官僚も振り回されている。東大に限らず、優秀で志のある人は行かない」と警鐘を鳴らした。(2021/03/01-20:11)
FOCUS: Disciplinary Actions Highlight Japan's Degraded Bureaucracy
The recent resignation of a cabinet spokeswoman and disciplinary penalties for senior bureaucrats at the communications and agriculture ministries over conflict of interest rule violations are the latest signs of a decline in the quality of Japan's bureaucracy.
The series of scandals that raised new questions about bureaucrats' moral standards can be seen as an example of the harmful effects of the concentration of authority over personnel affairs at the prime minister's office, some experts say.
In late February, the Internal Affairs and Communications Ministry punished 11 senior officials who were treated to dinners paid for by Prime Minister Yoshihide Suga's eldest son and fellow senior officials of satellite broadcasting company Tohokushinsha Film Corp. , in violation of the national public service ethics code. In a related move, Makiko Yamada resigned on Monday as cabinet public relations secretary after admitting that she attended such a lavish dinner when she was working for the ministry.
In the same vein, six senior officials of the agriculture ministry including the vice minister were disciplined in February for joining dinners attended by a former farm minister and the former head of an egg production company, both of whom have been indicted in a bribery scandal.
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