新たな日米協力の機会に　バイデン政権発足で米識者

　【ワシントン時事】「米国第一」のトランプ前政権が終わり、国際協調と同盟を重視するバイデン政権が発足した。日米関係はどう変化するのか、米シンクタンク、ジャーマン・マーシャル・ファンド（ＧＭＦ）のブルース・ストークス研究員に展望を尋ねた。
　―対日政策はトランプ政権からどう変わるか。
　米軍駐留費負担を日本に一方的に求めるような脅しや辱めの外交はなくなる。ただ、米国は中国の影響力増大に対処しなければならず、バイデン政権が日本と軍事戦略的な関係を強化しようとするのは間違いない。台湾への対応では、緊密に日本と協力しようとするだろう。
　―米国の対中外交はどう変わるか。
　共和党、民主党を問わず、冷戦以来、中国に対する世論がこれほど厳しかったことはない。経済が多少傷ついても、中国の人権問題にはより厳しくすべきだという点で米国内は一致している。日本の立場は少し違う。中国ともっと深く結び付いており、経済面で日米が共同でできることには制約がある。
　―日米協力はどのような分野で可能か。
　バイデン政権にとって魅力的なのは、人工知能や量子コンピューター、ロボット工学といったハイテク分野での協力だ。中国にはこれらの分野に必要な多大な資金、科学者の才能、巨大な市場がそろっている。日米の協力をうまく組織化できれば、中国への競争力が高まる。地球温暖化対策の協力も可能性がある。日本が得意な高速鉄道は、米国で航空機による大気汚染を低減する効果があるだろう。
　―米国の環太平洋連携協定（ＴＰＰ）復帰の可能性は。
　バイデン政権の人に話を聞くと、ほとんど興味がない。ＴＰＰ離脱は大きな間違いだったが、今からその間違いを修正するのは非常に難しい。米国人は、参加するからには「すべてを自分で決めなければならない」と考える傾向があるが、アジア諸国は米国なしで既に前へ進んでいる。ただ、デジタル経済のルール作りに関して日本やアジア諸国と交渉を行うなら、米国にも魅力がある。
　◇ブルース・ストークス氏
　ブルース・ストークス氏　１９４８年生まれ。ＧＭＦ上級研究員、米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターのディレクターを歴任。ジャパン・ソサエティー研究員として日本に赴任経験がある。（2021/02/09-20:31）

The administration of U.S. President Joe Biden is likely to seek cooperation with Japan by reversing the unilateralism of his predecessor, Donald Trump, a U.S. think tank expert has said.
   The Biden administration is not "going to do things that surprise our allies, that embarrass our allies," Bruce Stokes, a fellow at the German Marshall Fund, said in a recent interview.
   "I'm sure they will want to strengthen the military strategic relationship with Japan" as the United States has to deal with China's growing economic and strategic assertiveness in the region, he said. "But there will be no idle threats about... making Japan pay for the American troops in the region."
   "I think the inclination of the Biden administration will be to work closely with Japan on our response to Taiwan," he added.
   Asked about possible changes to U.S. diplomacy toward China, Stokes said, "What we know from public opinion surveys is that American public disapproval of China and criticism of China has never been this high since the Cold War."