マスクできない「分かって」　感覚過敏に苦しむ人たち―専門家「わがままじゃない」

　新型コロナウイルスの感染拡大による２度目の緊急事態宣言下で、マスク着用への目がより厳しくなっている。こうした中、触覚などの五感が敏感に反応するなどの感覚過敏で、マスクを着用したくてもできない人たちが「理解してほしい」と訴えている。
　「マスクしないと非国民なのか」。東京都新宿区の女性（４０）は、１月からウレタン素材から不織布マスクに切り替えた。我慢できる範囲としてウレタンを選択していたが、「予防に不十分」との風潮に押された。ストレスも重なり肌荒れがひどくなったといい、「（マスクを強要する）マスク警察が怖い。マスクがつらい人がいることを知ってほしい」と語った。
　武蔵野市の女性（２８）は昨年１１月にマスクをめぐるトラブルに巻き込まれた。バス乗車中、過呼吸気味になりマスクを外すと、「マスクしろ」と高齢男性に怒鳴られた上、降車後に追い掛けられた。その時の恐怖から向精神薬を処方するようになったという。
　千葉県習志野市の中学３年加藤路瑛さん（１４）は昨年４月に「マスクがつけられません」などの意思表示カードを考案。自身が立ち上げた「感覚過敏研究所」のホームページで無料配布している。会話時に広げる「せんすマスク」も提唱する加藤さんは「誰にも苦手があるように、マスクの苦手も受け止めて」と要望した。
　感覚過敏は発達障害者に多いとされている。昨年７～８月、国立障害者リハビリテーションセンター（埼玉県所沢市）による調査で、発達障害がある人の５６％がマスク着用を「我慢して、している」「することが難しい」と回答した。
　同センターの発達障害研究室の和田真室長は「感覚過敏は病気ではなく症状で、脳がどう感じるか調節の問題。個人差が大きく、改善方法は確立されていない」と説明。その上で「決して、わがままや我慢不足ではない」と理解を求めた。（2021/02/05-13:26）

People who cannot wear face masks due to hypersensitivity and other conditions are finding difficulty in gaining understanding as social pressure to wear masks mounts amid Japan's second state of emergency over the novel coronavirus epidemic.
   "If I don't wear a mask, does that make me unpatriotic?" said a 40-year-old woman from Shinjuku Ward in Tokyo, who suffers from hypersensitivity.
   The woman had previously been wearing face masks made of urethane, as her skin reacted badly to surgical-style masks. She was pressured into wearing the surgical kind since January, however, due to claims that urethane masks are not enough to prevent infections. Combined with the stress of having to wear masks, she has been suffering from rough skin as a result.
   "I am scared of the 'mask police,'" who pressure people into wearing masks, she said. "I wish they would learn about people who find it difficult to wear masks."
   A 28-year-old woman from the city of Musashino in Tokyo was embroiled in an incident last November that involved one such person.