交渉妥結、危機感が導く=パンデミック条約―WHO
将来の感染症のパンデミック(世界的大流行)に備える条約の策定交渉が妥結した。利害対立で火花を散らした先進国と途上国の間に溝は残るが、「このチャンスを逃せば機運はしぼむ」という危機感が世界保健機関(WHO)加盟各国を合意に導いた。
交渉が始まった2022年以降、世界情勢はロシアのウクライナ侵攻や中東の戦闘で激変した。23年にはWHOがコロナ緊急事態宣言を解除。感染症の脅威に対する人々の関心は低下した。
今年1月には、WHOの最大の資金拠出国である米国が第2次トランプ政権の発足と同時に脱退を表明。条約交渉からも離脱し、残された各国当局者は対立を越えて条約を早期に実現させる歩み寄りの必要性を意識したという。
コロナ禍では、先進国が自国優先で医薬品を確保し、検査キットの入手もままならなかった途上国から「ワクチン・アパルトヘイト(人種隔離)」と非難された。条約は、国際協調を通じて途上国に医薬品を行き渡らせることが主眼の一つだ。
ところが交渉では、製薬大手を抱える先進国が過度の負担を警戒し、最大限の支援を求める途上国と反目。当初予定した24年の条約案採択は実現せず、交渉を1年延長して何とかまとまった。
条約で途上国支援の中核を成すワクチン分配や資金調達の詳細な制度設計は、交渉全体の合意を優先して先送りされたもようだ。条約の完成には懸案の解決が不可欠で、難しい折衝は今後も続く。(パリ時事)
[時事通信社]
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