2025-04-10 20:08TOPICS

中国、米国に徹底抗戦=報復関税、84%に―貿易戦争激化

中国の習近平国家主席(左)とトランプ米大統領(AFP時事)
中国の習近平国家主席(左)とトランプ米大統領(AFP時事)

 【北京時事】中国政府は10日、米国からの全輸入品に84%の追加関税を課した。トランプ政権による対中関税引き上げへの報復措置と位置付け、一歩も引かない構え。これに対し米国は、対中関税のさらなる上乗せを発表。米中の貿易戦争は激化の一途をたどっている。
 「米国が関税戦争や貿易戦争を続けるのであれば、中国は最後までお付き合いする」。中国外務省の林剣副報道局長は10日の記者会見で、徹底抗戦の方針を改めて宣言した。
 両国の対立は4月、トランプ大統領が中国からの全輸入品に34%の相互関税を課すと発表し、中国が報復したことをきっかけに一気にエスカレートした。報復の連鎖により、米国の対中関税率は10日、計125%へ拡大。中国も相応の痛みを与えるべく、追加の報復措置を検討しているもようだ。中国国家映画局は同日、米国産映画の輸入本数を減らすと発表。関税以外での対米圧力も強めた。
 林氏は会見で、米国の措置は不当だと、繰り返し訴えた。中国では経済成長を背景に、国民の間で大国意識が高まっている。反撃を求める世論を踏まえ、共産党・政府も「弱腰」に見える対応を取りにくくなっている。
 ロイター通信によると、上海外国為替市場では10日、人民元相場が対ドルで一時、2007年以来の安値に下落した。市場では米関税の影響を軽減するため、中国当局が一定程度の元安を容認しているとの見方が広がる。米ブルームバーグ通信は、中国指導部が同日、追加の景気刺激策を討議する会合を開くと報じた。
 国内では、今後の米中交渉に期待する向きは少ない。共産党筋は、今回の関税引き上げにより、「米国との貿易はほぼ完全に止まる」と予想。「もはやここまで来たら、関税率が200%でも1000%でも変わりはない」と開き直った。
 世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長は9日、貿易戦争の激化により、米中の貿易規模は最大8割縮小するとの試算を公表。「今後の世界経済に深刻な打撃を及ぼしかねない」と警告し、対話に乗り出すよう呼び掛けた。 

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