2025-04-09 19:58政治

対中朝ロ、戦略的協力確認=欧州とインド太平洋不可分―石破首相、NATO事務総長と会談

 石破茂首相は9日夕、首相官邸で北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長と会談した。両氏は共同声明を発表し、「欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は連関し、同様の挑戦に直面している」との危機感を表明。米国の内向き姿勢も念頭に、中国と北朝鮮、ロシアに対し「戦略的協力を通じて、対応能力向上の歩みを進める」と強調した。
 会談後の共同記者発表で、首相は「強固なNATOの存在は日本にとっても大きな利益となる。インド太平洋へのさらなる関与を歓迎する」と呼び掛けた。ルッテ氏は、中朝ロ3カ国の軍事動向に触れ、「NATOと日本は私たちの価値観、自由と平和を守るため強く立ち上がる」と語った。
 日本はウクライナ情勢を巡り、同国支援を担う「NATO対ウクライナ安全保障支援・訓練組織(NSATU)」に参加する方針で、ルッテ氏はこれを歓迎した。
 共同声明は北朝鮮のロシア派兵を強く非難し、中国によるロシアの防衛生産基盤への支援に対する懸念を表明。「法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋」堅持に向け、東・南シナ海での力や威圧による現状変更の試みへの「強い反対」を明記した。中国に軍事面の透明性確保を求め、台湾海峡の平和と安定維持を訴えた。
 日NATO間の協力では、サイバーや宇宙、新興技術など幅広い分野で取り組みを加速させるとした。要人往来や部隊派遣、共同訓練、防衛産業協力の推進も確認した。
 NATOは、トランプ米大統領が欧州防衛に後ろ向きとなり、結束維持が課題となっている。日本との関係構築を通じ、米国が重視するインド太平洋地域への関与を強める狙いもある。 
[時事通信社]

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