対米外交、経済に大きな傷=信頼低下、権力空白影響も―韓国・尹大統領罷免
【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領の罷免が決まり、昨年12月の非常戒厳宣言以来の不安定な状況に一つの区切りがついた。非常戒厳という先進民主主義国家としては異例の事態で大きく信頼を損なった上、権力の空白の影響は深刻。第2次トランプ米政権の圧力が強まる中、戒厳以降の混乱がもたらした外交や経済の傷痕は深い。
「グローバル関税戦争が現実になりつつある極めて厳しい状況だ。通商危機の克服に向け政府のすべての力量を注がなければならない」。3日、トランプ政権の相互関税発表を受け、大統領代行の韓悳洙首相は関係閣僚らに檄(げき)を飛ばした。
しかし、大統領代行体制で、事実上打つ手がなかったのが現実だ。トランプ氏との電話会談すら実現できておらず、与党「国民の力」議員は「石破茂首相はトランプ氏と会談したが、われわれは圧力に十分防御できない」と嘆く。
「非常戒厳に対し米側はかなりの不快感を覚えている。韓国に対する信頼の低下は想像以上に深刻だ」(専門家)という指摘もある。トランプ政権発足で、米韓同盟、日米韓協力の枠組みにも不安が広がる中、3月末に訪日したヘグセス米国防長官は、通常はともに立ち寄ることが多い韓国を訪問先から除外した。
3月中旬、米エネルギー省が韓国を核不拡散や安全保障上、注意が必要な「センシティブ国」に指定したことも判明。1月に決定されたにもかかわらず韓国政府の把握が遅れたとされ、リーダー不在の中で外交力の限界が浮き彫りになった。また、非常戒厳は、世界的なKポップの人気などで築いた韓国のイメージにも暗い影を投げ掛けている。
尹氏による「非常戒厳」宣言は消費を冷え込ませ、国内経済も傷つけた。韓国銀行(中央銀行)は2月、米国の関税政策と韓国の政局混乱が輸出と内需の両面で景気を押し下げるとして、今年の国内総生産(GDP)伸び率予想を従来の1.9%から1.5%に引き下げた。
軍事面でも、戒厳に関わった国防相や司令官らが逮捕、解任され、空席状態。ある中堅軍人は、戒厳に関わっていないものの、軍が国内政治に利用されたことで「軍務への意欲が低下した」と振り返る。士気にも影響が出ている可能性がある。
[時事通信社]
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