コメ先高観、根強く=備蓄米放出効果は不透明

政府備蓄米の放出に向けた初回の入札結果が公表された。落札価格の加重平均が60キロ当たり2万1217円という結果について、農林水産省は現在の小売価格よりも低い価格で店頭に並ぶだろうと期待する。だが、調達競争の激化で、早くも2025年産米を巡って24年産よりも大幅な高値での集荷を探る動きもみられる。取引業者の先高観は根強く、もくろみ通りとなるかは不透明だ。
コメの価格は新米が出回り、24年夏に店頭で見られた品薄が解消に向かった後も、価格は上昇を続けた。代表的な指標の一つ、小売物価統計調査(東京都区部)によると、5キロ当たりの価格は今年2月に「コシヒカリ」が4363円、「コシヒカリ以外」は4239円。いずれも過去最高を更新し、わずか1年で約8割上昇した。
「それよりかなり低い価格になるだろう」。江藤拓農水相は入札結果を受けた14日の記者会見で、今回公表された落札価格に流通コストなどが上乗せされても、小売価格は下がるとの見通しを示した。
だが、全国農業協同組合連合会新潟県本部(JA全農にいがた)は2月、集荷する際に仮払いする「概算金」の引き上げを決めた。25年産のコシヒカリ(一般)は60キロ当たり、24年産の当初額より35%高い2万3000円を最低額とし、さらに増額も検討する。
卸売業界関係者によると、各産地では25年産米の集荷に向け、60キロ当たり3万円前後を提示する業者も現れている。政府が備蓄米放出を打ち出して以降も、取引業者の先高観が払拭されていないのが現状だ。
宇都宮大農学部の小川真如助教は「集荷競争は過熱しており、25年産米の生育の見通しが立つ6~7月ごろまで、価格は乱高下する可能性がある」と指摘した。
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