「フランスに移民殺到」首相発言を左派・中道派が批判、右派は歓迎
【パリAFP=時事】フランスのフランソワ・バイル首相は28日、同国に移民が「殺到している」と発言したことについての釈明に追われた。この発言は、左派からは極右の思想を広めていると非難され、首相が属する中道派からも激しく批判された。一方で、右派や政権内外の対移民強硬派からは称賛されている。≪写真はフランスのフランソワ・バイル首相≫
バイル氏は27日夜、仏ニュース専門局LCIで「外国人の貢献は、数で釣り合いが取れている限りは国民にとってプラスだ」「だが、(移民が)殺到している、もはや自分たちの国や生活様式、文化じゃないと感じられるようになると、たちまち拒絶反応が現れる」と主張。
このような感覚はまだ広まってはいないが増えつつあり、「一部の都市や地域」では既にそうした状況に陥っていると付け加えた。
対移民強硬派のブリュノ・ルタイヨ内相とジェラルド・ダルマナン法相は、バイル首相を擁護した。
極右「国民連合(NR)」のセバスチャン・ショニュー副党首は、バイル首相の発言はNRが「イデオロギー闘争に勝利」した証拠だと主張した。
■「人種差別」
だが、バイル首相と同じ中道派のヤエル・ブロンピベ国民議会(下院)議長は、バイル氏から距離を置き、「私なら決してあんな発言はしない。恥ずかしく思う」「フランスは常に(移民を)歓迎してきた」と表明。
緑の党の議会トップ、シリエル・シャトラン氏は、バイル氏の「恥ずべき」発言に「極めて大きなショックを受けた」と述べ、こうした発言は「極右が推進する誤った考え」を反映したものだと指摘した。
強硬左派「不屈のフランス(LFI)」の議会会派トップ、マティルド・パノー氏は、ルタイヨ内相らの移民に対する見解を「人種差別」と批判した。
社会党の議会トップ、ボリス・バロー氏は、バイル氏が「極右の言葉と幻想を使用」するのは「恥ずべきことだ」と非難。今回の発言は、社会党が今後の内閣不信任決議案の採決で、バイル氏を首相として支持するかどうかの判断に「影響を与える」だろうと続けた。
バイル氏は28日、議会での質疑応答で発言を撤回せず、自身の言葉の選択は変わらないと述べた。
だが、インド洋のフランス海外県マヨット(マホレ)が隣国コモロから不法移民が大量に流入している現状への対策に悩まされている例を挙げて釈明。
「マヨットの状況に直面した人なら誰でも、『殺到』という言葉が最も適切だと理解できるだろう」と述べ、フランスで同様の状況に陥っているのはマヨットだけではないと主張。
「フランス各県の全共同体が不法移民の波に直面しており、その数が人口の25%に達する場所もある」「衝撃的なのは(私の)発言ではない。現実の方だ」と続けた。
国立統計経済研究所(INSEE)によれば、2023年の在仏外国人は約560万人。全人口に占める割合は8.2%で、1975年の6.5%から増加している。【翻訳編集AFPBBNews】
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