コンビニ「地域のインフラに」=被災したローソンオーナー―阪神大震災

1995年1月に発生した阪神大震災を契機に、コンビニエンスストアには「災害時のライフライン」としての期待が寄せられるようになった。神戸市灘区でローソンの店舗オーナーを務めてきた村上克己さん(71)は「現在のお客さんが抱くインフラとしての安心感は、当時と比べものにならない」と語る。
村上さんは震災発生後、兵庫県尼崎市内の自宅から自家用車で店にたどり着いた。震度7の大きな揺れで、建物や道路は崩壊。店内は水道管が破裂して水浸しとなり、床には商品が散乱していた。
営業ができない中、来店者に食料品などを無償で配布。水や食料の確保に不安を覚える被災者を前に「配って当然」との思いしかなかった。
店を再開できたのは3カ月後の4月末。それまで店内の修復工事の手配や周囲のがれき処理、銀行巡りなどに日々奔走し、「やっと商売ができる」との安堵(あんど)感が広がったという。
現在も灘区で店を取り仕切る村上さん。昨今は災害以外にも「防犯面など地域の中のコンビニの役割は大きい」と話す。
今月17日、阪神大震災発生から30年の節目を迎えた。南海トラフ地震を含め震災はいつ、どこで起きるか分からない。村上さんは従業員に「地震の際は山側に逃げる」といった避難指示を心掛けているといい、「震災が起きた時は必ずお客さんを受け入れる」と強調した。
[時事通信社]
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