恐怖乗り越え悲願=写真家の石川直樹さん―日本人、相次ぐ14座制覇(上)
世界に14座ある標高8000メートルを超える高峰で、昨秋に2人の日本人が相次いで全制覇を達成した。写真家の石川直樹さん(47)と看護師でもある渡辺直子さん(43)。「14座制覇」は、日本人としては2012年に竹内洋岳さんが達成して以来の快挙。偉業を遂げた両登山家に迫った。
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写真家の石川直樹さん(47)は20年以上にわたって挑戦を続けてきた。昨年10月4日に最後に残っていたシシャパンマ(8027メートル)登頂に成功し「日常では得られない、体を全部使ってやり遂げたという喜びがある」と語った。
東京都出身。高校生のときから世界中を旅して回った。山に登りながら風景や地元民族の生活などをフィルムカメラで撮影。2001年に当時大学生で世界最高峰エベレスト(8848メートル)を登頂し、極限の状態で山頂を目指す登山の楽しさに魅せられた。
全制覇まであと1座に迫った23年10月、シシャパンマの頂上手前のところで雪崩事故が発生。石川さんは無事だったものの、先行していた2隊が巻き込まれた。凄惨(せいさん)な現場に居合わせて恐怖を感じたが、「登らないで後悔するよりは登って後悔した方がいい」と諦めなかった。雪崩が起きやすい場所を避けるようにルートを変更し、1年後に再び挑んだ。
日頃から自分の体が反応したものを写真に収めることを心掛けており、雪崩事故が発生する直前の様子も撮影した。貴重な資料として米メディアなどで取り上げられ、記録を残すことの重要性を実感した。今回は念入りに約300枚の写真を撮影し、特に印象に残ったのが山頂から見た景色。一番高い主峰にたどり着くと、近くにやや低い中央峰などが見え、「ここより高いところはどこにもないということがうれしかった」。
今後、個展などで登山の写真を発表し、自身の体験を伝えていく。14座の登山はこれで一区切りをつけるが、石川さんの旅は終わらない。「自分の体を通じて世界を理解していく。そういう活動は死ぬまで続いていく」と力強かった。
[時事通信社]
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