トランプ氏、不法移民対策で軍動員=「史上最大の送還作戦」開始―米新政権
【ワシントン時事】トランプ米大統領は20日の就任直後から、不法移民対策に着手した。対メキシコ国境に国家非常事態を宣言し、軍の動員も決定。昨年の大統領選で最優先課題に掲げた不法移民の排除に向け、いくつもの大統領令で「米史上最大の強制送還作戦」をスタートさせた。
「政府は外国の国境を守るために際限なく資金を投じながら、米国の国境とさらに重要な自国民を守ろうとしなかった」。トランプ氏は就任演説で、ロシアの侵攻を受けるウクライナに多額の支援を行いながら、不法移民の流入を許したバイデン前大統領を声高に非難した。
その上で、不法入国を食い止め取り締まりを強化するため、軍を国境近くに配置すると表明。さらに、亡命や難民を申請する移民を審査終了まで米国内に滞在させる政策を廃止し、メキシコ側にとどめるとも述べた。
政権1期目で進めた「国境の壁」建設を再開する意向も示した。南米ベネズエラで誕生し、西部コロラド州などで犯罪に関与するギャング組織「トレン・デ・アラグア」や麻薬カルテルなどを「外国テロ組織」に指定することも決めた。
また、1798年制定の「敵性外国人法」を適用し、罪を犯した不法移民を強制退去させる計画。米国の市民や法執行機関当局者を殺害した不法移民に対し、死刑を求めることも司法省に指示した。
米国で生まれた子供へ自動的に米国籍を与える出生地主義を見直す大統領令に署名し、不法移民の子供に「米国民」としての地位を認めない姿勢も示した。ただ、出生地主義は合衆国憲法に明記されており、訴訟の対象となる可能性がある。
[時事通信社]
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