「暗黒酸素」の生成解明へ=英研究機関と深海調査―日本財団
【ロンドン時事】日本財団は18日、英研究機関のスコットランド海洋科学協会(SAMS)と共同で、太陽光が届かない深海底で生成される「暗黒酸素」の調査を開始すると発表した。3年間で総額200万ポンド(約3億8000万円)を拠出し、暗黒酸素の生成メカニズムの解明を目指す。
暗黒酸素を巡っては、SAMSのアンドリュー・スイートマン教授らの研究チームが昨夏、太平洋の深海底で存在を確認した。マンガンやコバルトなどの金属を含む「マンガン団塊」と呼ばれる鉱物から酸素が発生している可能性が高いという。光合成のみが酸素を生み出すとしてきた従来の科学的常識を覆す発見として、世界的に注目を集めている。
計画では、水深1万1000メートル以上の深海底に到達可能な実験装置を開発し、酸素や水素などの濃度を測定する。一連の調査を通じて暗黒酸素の発生源を突き止めるとともに、海底の生態系への影響も分析するという。
ロンドン市内で記者会見した日本財団の笹川陽平会長は「暗黒酸素のメカニズムを理解するだけでなく、人類の生存を考える上で、深海で何が起きているかを知ることが重要だ」と調査の意義を語った。
[時事通信社]
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