中国、定年引き上げに着手=膨らむ社会保障、反発も根強く
【北京時事】中国で1月から定年退職年齢の引き上げが始まった。定年見直しは建国直後の1950年代以来で、15年かけて5年間延長する。ただ、高齢化は急速なペースで進み、社会保障費は膨らむばかりだ。実施規模が不十分との指摘も出ている。
国家統計局が17日に発表したデータによると、2024年の総人口に65歳以上の高齢者が占める割合は15.6%と、前年から0.2ポイント上昇した。
国連は、34年に中国が全人口の21%超を65歳以上が占める「超高齢社会」へ突入すると予想。社会保障費もさらに急増する見通しで、中国社会科学院は19年時点で、会社員らが加入する年金の積立金が「35年に枯渇する」と警告していた。
定年の引き上げは段階的に実施され、男性は60歳から63歳、女性は幹部が55歳から58歳、それ以外が50歳から55歳へ、それぞれ変更となる。これに合わせて年金保険料の支払期間も延長される。
ただ、国内で引き上げへの反発は根強く、当初は俎上(そじょう)に上っていた65歳までの延長は見送られた。シンガポール紙ストレーツ・タイムズは、年金の財源不足を解決する上で、今回の措置が「不十分だ」とする専門家の見解を伝えた。
高齢化対策として、欧州では定年を67歳に引き上げる動きがあるほか、日本でも企業が65歳以上を雇用するケースが増えている。中国の定年は延長後も低い水準にとどまっており、「財源不足などを理由に再延長を強いられる可能性もある」(専門家)との見方も上がっている。
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