ガス復旧、業界で連携拡大=阪神大震災、耐震化も加速
地下に張り巡らされた導管を通る都市ガスは、30年前の阪神大震災を契機に、早期復旧や設備の耐震化の取り組みが加速した。ガス事業者間の連携が進み、災害発生時の迅速な応援派遣につながっている。南海トラフ地震などの大規模災害が懸念される中、ガス業界は今後も対策を強化していく考えだ。
都市ガス事業者で組織する日本ガス協会によると、1995年1月17日に発生した阪神大震災では、ガス供給が停止したのは約86万戸。全国からの応援を含め、最大で約9700人が復旧に従事したが、完全復旧には85日を要した。
震災を教訓に、震度5強相当の揺れでガスを自動的に停止する「マイコンメーター」の各家庭への設置が義務付けられた。また伸縮性があるポリエチレン管の採用などで、導管の耐震化率は震災時の68%から91.9%(2022年度末)に向上した。30年度末には95%を目指す。
東日本大震災などを経て、中小も含め全国200社超による非常時の協力体制を拡充。各地域で訓練を毎年実施し、被災地への円滑な応援派遣に役立てている。18年の大阪北部地震では約5100人がガス復旧に当たり、約11万戸への供給が7日で再開した。ガス協会の担当者は阪神大震災を振り返り、「一朝一夕に変わるものではなく、10年、20年とかけて強化してきた」と話す。
東京ガスなど大手3社は、各導管子会社の合同訓練を昨年11月に初めて実施し、会社ごとに異なる設備の仕様などを確認した。従来は東京ガスと大阪ガスで行っていたが、東邦ガスが新たに参加。同社子会社の担当者は南海トラフ地震による被害も想定し、「いつ大地震が起きてもしっかり対応できるよう不断の努力を続けていく」と意気込みを語った。
[時事通信社]
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