2025-01-16 20:28

イチローさんのスピーチ要旨=野球殿堂

 野球殿堂入り通知式に臨んだイチローさんのスピーチ要旨は次の通り。
 このたびは殿堂へ選出いただきありがとうございます。私は1991年にオリックス・ブルーウェーブからドラフト4位で指名していただき、日本で9年、アメリカで19年、プロ野球選手生活を過ごしました。にもかかわらず、日本の野球殿堂へ迎え入れていただいたことに大変感謝申し上げます。
 2019年3月に東京ドームで引退の試合を終えてから、あっという間でした。ファンの方々がつくってくれたあの瞬間を支えに、引退後も野球に携わって、プロ野球に対して未練があったりとか、そういう後ろ向きな気持ちがなく、ここまで過ごしてこられました。
 今は未来を担う子どもたち、主に高校生なんですけど、彼らとの出会いを通じて、それが僕の大いなる目標となっていて、モチベーションにもなっているという状況です。さまざまな要因から、野球が変わっていっていますけれど、せめて子供たちが向き合う野球は純粋なものであってほしいと願っています。
 時代で変わっていくものもあります。でも、やっぱり変えてはいけないものもあると思うんですね。そこを僕は強く意識して、これから子供たちと接していきたいと思っています。
 最後になりますが、あす(17日)で阪神・淡路大震災から30年がたちます。当時僕は21歳ですね。オリックスの寮で眠っていたんですけど、初めて命の危機というか、自分はこれで死んじゃうのかもしれないと。寮があったエリアはそんなに大きな被害はなかったんですけど、それでも初めて命について考えさせられた時間でした。
 こういうことは、経験していない人たちに伝えていくというのは大変難しいことなわけですけれど、一被災者として経験した思いというのを、経験しなかった子供たちに伝えていけたらなというふうに思っています。
 そして神戸は、僕にとって今も特別な場所で、オフにはたまに神戸に寄ることもあるんですけど、これからも自分なりに進んでいく姿が、誰かのきっかけになったり、支えになったり、そんなふうになれたらいいなと思っています。これからも、自分が動けなくなるまで野球と携わって、何とか日本野球の力になりたいと考えています。本日はありがとうございました。
[時事通信社]

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