トイレ使うには商品購入を スタバの方針転換で論争 米
【ニューヨークAFP=時事】米コーヒーチェーン大手スターバックスが商品を購入しなくてもトイレの使用を認める方針を撤回し、議論を巻き起こしている。≪写真は、窓に写るスターバックスのロゴ≫
78市場で2万9000店舗を展開するスターバックスは13日に適用した新たな行動規範で、「当社のスペースをお客様が優先的に利用できるようにしたい」と表明。
そうしたスペースには店内席やテラス席、トイレが含まれているとし、多くの小売業者も同様の措置を取っていると説明した。
スターバックスのような米小売業者は、自宅や職場以外の集まりの場である「第三のスペース」を自称しているため、公衆トイレが少ない同国でジレンマに直面している。
店内トイレの利用は、スターバックスにとっては複雑な問題だ。注目を集めたのは、2018年。友人を待っていた黒人男性2人がスターバックスの店舗のトイレの使用を拒否された事例だ。
2人はビジネスミーティングのため、もう1人の到着を待っている間、1人が先にトイレを使わせてほしいと言ったとされるが、店側は品物を購入した客以外は利用できないと断り、スタッフが警察に通報。2人は逮捕されたが、訴追されることはなかった。一方で、人種差別との批判が広がり、各地の店舗の前で抗議デモが起きるなどの事態に発展した。
この失敗を受けて、スターバックスは店舗のトイレの使用を誰にでも認める「オープントイレ」ポリシーを採用した。
だが、ハワード・シュルツ暫定最高経営責任者(CEO)は2022年、メンタルヘルスの問題を抱える人々による安全上の問題のため、このポリシーを終了せざるを得なくなるかもしれないとの考えを示した。
■「店舗を強化」
シュルツ氏は当時、「当社の店舗を強化し、従業員の安全を確保する必要がある」「トイレをオープンにし続けることができるかどうかは分からない」と述べた。
ニューヨーク市マンハッタン地区のミッドタウンエリアにある店舗では、新たな行動規範はまだトイレのドアに掲示されていない。だが、バリスタの一人は匿名を条件に「(商品を購入せずに)トイレを使用しようとする人はまだいるだろう。もちろんホームレスの人々も。それは確かだ」と語った。
同店舗のトイレは一つだけで、客は店員から伝えられる暗証番号でトイレのロックを解除して次々に使用していた。
先述のバリスタは「みんながルールを守れば、もっと良くなるはずだ」と付け加え、新行動規範の適用によってスタッフの負担が減るとの認識を示した。
一方で、数ブロック離れた別の店舗のスタッフは、商品を購入しない人が同店のトイレや座席を利用しても「問題ない」と述べた。新行動規範については知らないようだった。
スターバックスをよく利用しているというノエル・デボーさんはX(旧ツイッター)で、新行動規範は「大学生や社会人」には適用されないだろうとし、「これは、彼らが望ましくないと感じる人々を追い出す手段にすぎない」との見方を示した。
スターバックスは2024年10月、第4四半期の世界売上高が前年同期比3%減の91億ドル(現在のレートで約1兆4300億円)だったと発表した。
新CEOが同社を立て直すために戦略的な改革を表明する中、業績低迷に歯止めがかからない状況が続いていることが明らかになった。
スターバックスは企業理念として、「人々の心を豊かで活力あるものにするために…一つのコミュニティーから」を掲げている。【翻訳編集AFPBBNews】
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