マドゥロ政権、3期目始動=トランプ氏と関係改善模索―ベネズエラ
【サンパウロ時事】南米ベネズエラの反米左派マドゥロ政権は10日、3期目が始動した。「民主主義の正当性を欠く」(先進7カ国=G7)など国際的な批判が高まる中、一段と独裁色を強めそうだ。中ロなどと緊密な関係を結んでいる外交では、20日に就任するトランプ次期米大統領との関係改善を模索している。
マドゥロ大統領は就任式で「この新たな大統領の(6年間の)任期が平和の時代になると誓う」と強調した。式典には近隣諸国の首脳では、いずれも独裁政治が続くニカラグアのオルテガ、キューバのディアスカネル両大統領が出席。一方、マドゥロ氏の後ろ盾だったブラジルのルラ大統領からは就任について目立つ発言はなく、地域で進む孤立化をさらけ出した。
マドゥロ氏は3期目の重要課題に、「今後30年間の発展モデルを定め、政治と社会の民主化を進める」として憲法改革を挙げた。幅広く議論すると説明するが、同氏に有利になるよう憲法が書き換えられることもありそうだ。
米欧などは、昨年7月の大統領選で3選を宣言したマドゥロ氏が裏付けとなる詳細な開票結果を公表していないと批判。今月10日のG7外相声明は、選挙で政権交代の民意が示されたとして「権力掌握の継続を拒否する」と念を押した。
一方マドゥロ氏は、トランプ氏が米大統領選で返り咲きを決めた際、両国関係の「新たなスタートになる」と秋波を送った。トランプ政権の1期目はマドゥロ政権に「最大限の圧力」政策を実施した結果、ベネズエラの経済危機が深刻化した。2014年以降に770万人以上が国を離れ、米国にも押し寄せた。トランプ次期政権の外交チームには強硬派が並ぶが、ブラジルにあるサンパウロ連邦大学のヘジアネ・ブレサン教授は「移民政策を硬化させるトランプ氏が、(移民増を招きかねない)経済制裁を強化することはないだろう」とみる。
[時事通信社]
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