トランプ氏、ウクライナ停戦で強気姿勢後退=プーチン氏と会談「6カ月以内に」
【ワシントン時事】ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、戦闘の早期終結を主張してきたトランプ次期米大統領が、強気な姿勢を後退させつつある。ロシアのプーチン大統領に直接働き掛けて停戦交渉を進める狙いだったが、実現の見通しは立たず。停戦に向けた仲介外交が難航する気配が強まっている。
トランプ氏は7日、南部フロリダ州の邸宅で開いた記者会見で、プーチン氏との会談の時期について問われ「プーチンが会いたがっていることは知っているが、大統領就任前の会談は適切ではない」と語った。その上で「6カ月以内の早い時期を望む」とも述べ、20日の就任後の早期実現に意欲を示した。
トランプ氏は大統領選挙中、ウクライナでの戦闘を「24時間以内に終わらせる」として、就任後の早期終結を図る考えを強調していた。現実的ではないとの見方が強かったものの、停戦交渉を念頭にウクライナがロシア西部クルスク州への越境攻撃を仕掛けるなど、トランプ氏の姿勢に各国が対応を迫られた。
トランプ氏は2024年11月の大統領選直後にウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談。側近で停戦案を公表したこともあるケロッグ退役陸軍中将をウクライナ・ロシア担当特使に起用する方針も発表し、停戦交渉に向けて動きだした。
だが、ロイター通信によれば、ケロッグ氏は今月上旬で調整を進めていたウクライナの首都キーウ(キエフ)訪問をトランプ政権発足後に延期。延期の理由は不明だが、ロシア側が優位な戦況を背景に強硬姿勢を崩さず、交渉が足踏みしている可能性がある。
ロシア軍は多大な損失を出しつつも、北朝鮮兵を1万人以上投入するなどして、ウクライナ軍が制圧したクルスク州の地域のうち、約半分を取り戻したと伝えられている。ロシア国防省は6日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝クラホベを完全制圧したと明らかにした。
こうした状況の下、ロシア側を交渉の席に着かせるのは難しい。一方、戦況を転換するにはウクライナ側へのてこ入れが必要との見方は根強い。トランプ氏は軍事支援に消極的なだけに、就任直後から難しい外交のかじ取りを迫られそうだ。
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