景気判断、東北・北陸を上方修正=継続的賃上げ「必要性が浸透」―日銀報告
日銀は9日、冬の支店長会議を開き、全国9地域の景気動向を分析した「地域経済報告(さくらリポート)」をまとめた。景気判断は東北と北陸の2地域を上方修正。他の7地域は据え置いた。景気は一部に弱めの動きも見られるが、すべての地域で「緩やかに回復」「持ち直し」「緩やかに持ち直し」と判断した。
追加利上げの判断で、日銀は春闘に向けた賃上げの動きを「大きなポイント」(植田和男総裁)と位置付ける。会議では、多くの支店から「構造的な人手不足の下、最低賃金の引き上げもあって、継続的な賃上げが必要との認識が幅広い業種・規模の企業に浸透してきている」と報告された。
北陸は「一部に能登半島地震の影響が見られるものの、緩やかに回復している」と判断。復旧・復興関連で公共投資や住宅投資が増加し、インバウンド(訪日客)消費も好調だった。東北は自動車生産の回復が寄与した。
賃金動向は、業績好調な大企業を中心に積極的な賃上げ方針の表明が相次ぐ中、地方や中小企業への広がりを確認。企業からは「2025年度も前年並みの賃上げを行う」(函館・スーパー)との声があった。一方で「人件費の上昇ペースに価格転嫁のペースが追い付かず、賃上げ幅を縮小する予定」(金沢・運輸)との厳しい見方も出た。
賃上げ原資を確保するための価格転嫁の進展に関して、日銀は「実施・検討する動きが引き続き広がっている」と説明。記者会見した神山一成大阪支店長は「相応の数の企業が賃上げに前向きな姿勢を打ち出している。(春闘での賃上げは)しっかりとした増加になるのではないか」と指摘した。
一方、一部の企業はトランプ次期米政権が掲げる高関税政策を警戒。「堅調な米国向け受注が関税率引き上げなどの影響で減少しないか、懸念している」(大阪・金属製品)などの声が上がった。
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