能登の伝統行事、2年ぶりに=厄払う「アマメハギ」―二重被災の輪島市門前町
能登半島地震と昨年9月の豪雨で被災した石川県輪島市門前町の集落で、伝統行事「アマメハギ」が2年ぶりに行われた。「(親の)言うこと聞くかーっ?」。天狗(てんぐ)などの仮面を着けた男衆が大声を上げて幼子を驚かし、住民の災厄を払った。
地元保存会によると、アマメハギは天狗と猿、「ガチャ」と呼ばれるオニの仮面姿の4人組が家々を回り、ノミを金づちで打ち鳴らすなどして厄払いする。子どもがいる家では、しつけとして脅し文句を言って戒める。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産「来訪神 仮面・仮装の神々」の一つで、昨年は地震で中止となった。
カンカン、カンカン―。2日午後3時半ごろ、門前町皆月地区の住民らが身を寄せる仮設住宅の集会所にノミを鳴らす音が響いた。「天狗」らが「こらー!」などと声を張り上げると、子どもたちは泣き叫んだ。
金沢市から帰省していた山本美咲さん(25)は、生後11カ月の長男流季ちゃんを抱いて参加。1年前、おなかの中にいた流季ちゃんと車中泊を余儀なくされたといい、「強くたくましい子に育ってほしい」と願った。
この日は仮設住宅のほか、約40戸の厄が払われた。行事を取り仕切る皆月日吉神社の番場誠宮司(62)は「復興に向けて継続できてほっとした。集落を離れた人が行事をきっかけに戻ってくれるとうれしい」と語った。
[時事通信社]
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