軌道に乗るか「石破・トランプ」=日米関係の安定化焦点―60周年日韓に陰り・25年外交展望
2025年の日本外交は、第2次トランプ政権が発足する米国との関係安定化が最大の課題だ。トランプ氏は保護主義的な「米国第一」を掲げており、各国は政策転換を警戒する。石破茂首相はトランプ氏と関係を築いて日米同盟を軌道に乗せられるか、外交手腕が問われそうだ。
「米国とわが国は国益が異なる。しかし、必ず一致点もあるはずだ。共に利益を実現する関係を築きたい」。首相は昨年12月27日の内外情勢調査会の講演でこう強調した。
日米同盟は「日本の外交・安全保障政策の基軸」(首相)だ。首相は日米を軸に「日米韓」「日米比」「日米豪印」などの枠組みで連携を強化し、中国、ロシア、北朝鮮などに対応する戦略を描く。1月中旬の米国訪問は見送り、大統領就任後の2月以降に正式に会談する方向で調整している。
ただ、トランプ氏は17年の第1次政権発足前に日本バッシングを繰り返し、在日米軍の撤退にまで言及した過去がある。就任後に当時の安倍晋三首相と良好な関係を築き、持論を口にしなくなったが、トランプ氏が指名した国防総省高官からは日本に国内総生産(GDP)比3%程度への防衛予算引き上げを求める声が早くも漏れる。
日本政府関係者の一人は「トランプ氏は追加関税をちらつかせ、防衛面の負担増を要求してくるのではないか」と警戒感を隠さない。
首相が安倍氏と同様にトランプ氏と信頼関係を築けるかにも注目が集まる。首相は12月24日、トランプ氏と4月に面会した麻生太郎元首相と国会内で会談し、助言を求めた。麻生氏が「トランプ氏には結論から言わなければ駄目だ」と語ると、首相は「それが一番苦手だ」と漏らしたという。
25年は日韓国交正常化60年の節目に当たり、韓国との関係改善の流れを維持できるかも焦点だ。22年に就任した保守系の尹錫悦大統領は元徴用工問題の解決策を示し、「戦後最悪」とも言われた関係を劇的に改善した。しかし、非常戒厳を宣言して弾劾訴追を受け、窮地に追い込まれている。
今後の展開次第では尹氏が罷免され、大統領選が前倒しされる可能性がある。革新系の文在寅前政権下では日韓関係が急激に冷え込んだ。日韓関係の行方は日本人拉致問題など北朝鮮への対応にも直結するだけに、日本政府は韓国政局の動向を注視している。
日中関係の改善も課題となる。首相は昨年11月に習近平国家主席とペルーで会談。12月には岩屋毅外相が外相として1年8カ月ぶりに中国を訪問しており、25年も引き続きハイレベルの往来を進め、日中双方の利益を追求する「戦略的互恵関係」を推進したい考えだ。
中国に強硬姿勢を取るとみられるトランプ米政権の発足を控え、中国も日本に秋波を送っており、短期ビザの免除再開などを打ち出している。首相は12月27日の講演で「米中対立の中にあって果たすべき役割をよく考えたい。中国の安定的発展、米国との利益実現の両立を考える」と語った。
◇2025年の主な外交日程
1月 9日 石破茂首相がマレーシア、インドネシア訪問(12日まで)
20日 トランプ次期米大統領就任式
2月24日 ロシアのウクライナ侵攻から3年
6月22日 日韓基本条約調印60年
未定 G7サミット(カナダ・カナナスキス)
8月20日 第9回アフリカ開発会議(TICAD9、横浜市で22日まで)
10月 7日 イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突から2年
26日 APEC首脳会議(韓国・慶州で11月1日まで)
11月22日 G20サミット(南アフリカ・ヨハネスブルクで23日まで)
12月18日 日韓国交正常化60年
[時事通信社]
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