トランプ氏対応で「試練の年」=対中強硬、貿易戦争再燃も―逆風備え日本などに接近・中国
【北京時事】中国外交にとって2025年は「試練の年」となりそうだ。対中強硬姿勢を示すトランプ次期米大統領の就任が迫り、習近平政権は貿易戦争再燃への備えを強化している。米国への対応に注力するため、中国との間で懸案を抱えてきた日本やインドなどとの関係修復を加速。新興・途上国への外交攻勢も強め、米国による対中包囲網の打破を図る。
「中国と米国が協力すれば、多くの偉業を成し遂げられる。同時に、米国による不当な抑圧や台湾問題など内政への干渉には断固反対する」。中国の王毅共産党政治局員兼外相は24年12月、北京で開かれたフォーラムでこう力説した。トランプ次期政権との意思疎通を維持する姿勢を強調しながらも、米側の出方次第で対抗措置を辞さない構えを示した。
トランプ氏は中国からの輸入品に60%の高関税を課すと主張。国務長官にルビオ上院議員、大統領補佐官(国家安全保障担当)にウォルツ下院議員を指名するなど対中強硬派をそろえ、通商だけでなく外交・安全保障分野でもこわもての対応が見込まれる。
ただ、トランプ氏の「予測不可能性」を前に、中国の識者の間でも米中関係の見通しは割れている。中国人民大の時殷弘教授は、トランプ氏が気候変動対策などへの関心が薄い点を挙げ、米中で協力可能な分野が縮小すると予想。「大規模な軍事衝突には至らないまでも、両国関係は最悪の状態になるだろう」と悲観的だ。
一方、別の北京の識者は、外交をディール(取引)と捉えるトランプ氏について「民主主義など西側の価値観に執着しないので、利害関係のみで話ができる」と指摘し、期待を寄せる。
逆風に備える習政権は、関係が冷え込んでいた日本や韓国、英国、オーストラリア、国境問題で対立するインドなどに接近している。日本に対しては、24年秋以降、日本産水産物の輸入再開方針を示したほか、中国訪問時のビザ免除措置を復活させ、融和姿勢を強調。日本が議長国を務める日中韓首脳会談に合わせた李強首相の年内訪日も視野に入れる。
米国の同盟・友好国の間には「米国第一」を掲げ、全ての国に対する関税引き上げを主張するトランプ外交への不安が広がる。習政権には、バイデン政権が築いてきた各国との協力関係にくさびを打ち込むとともに、米中通商摩擦の激化を見越し、米国以外の市場を確保する思惑もありそうだ。
[時事通信社]
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