遺族「向き合うため現場に」=冥福祈り、復興へ思い―珠洲市・能登地震1年
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県珠洲市。被災者らは犠牲者の冥福を祈り、復興に向けての思いを新たにした。遺族の1人は「向き合うため現場に来た」と、前を見つめた。
午前7時、崩落した景勝地の見附島では、十数人が初日の出を見守った。実家が被災し、仮設住宅で暮らす両親の元に帰省中の金沢市の専門学生四辻美香さん(19)は「今年は災害がない平和な1年になってほしい」と太陽に照らされる同島の様子を撮影していた。
鳥居や手水舎が倒壊したままの須須神社では、早朝から多くの人が「早く元の状態に」などと願った。市職員の男性は「復旧を進め地域を守っていきたい」と決意を新たにし、絵馬に記された言葉には復旧や復興への思いが並んだ。
仮設住宅から家族5人で初詣に来た池谷内寛人さん(44)は「全壊した家を建て直すので、これ以上災いがないように」と祈願した。50年にわたり毎年元日に初詣に来ているという青坂ゆう子さん(72)は「特別なことは要らない」と話し、平穏な日常生活を求めた。
「今と向き合うために来た」。午前10時半ごろ、妻子4人を亡くした大間圭介さん(42)が同市仁江町にある妻の実家跡を1年ぶりに訪れた。「いつまでも背を向けていたらいけない。1年というタイミングで来なければならなかった」と胸の内を明かした。
家族で乗っていた車は、土砂に押しつぶされたままだった。楽しい記憶が鮮明に思い出され、涙が止まらなくなったと大間さん。「気持ちが少しだけ楽になった。家族のことを感じられた」と穏やかな表情で語った。
午後4時10分、献花台や祭壇が置かれた大谷小中学校には約70人の被災者が集まり、黙とうをささげた。会場には輪島市で開かれた追悼式を中継するモニターが設置され、被災者らは心を一つにするように遺族代表のあいさつに聞き入り、涙を拭ったり肩を震わせたりする姿も見られた。
断水状態が続く地域に自宅のある珠洲市の浜幸治さん(48)は「地元の祭りを再開し、戻ってくる人を増やしたい」と力を込め、会場を後にした。
[時事通信社]
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