ロシア、繰り返す「誤射」=アゼルバイジャン機墜落1週間―ウクライナ東部と共通点
中央アジア・カザフスタン西部で38人が死亡したアゼルバイジャン航空機墜落から1月1日で1週間となる。ウクライナ侵攻を続けるロシアが防空システムで誤射したとみられ、プーチン大統領は発生3日後、調査結果を待たずにアゼルバイジャンに謝罪。民間機を戦禍に巻き込む悲劇が繰り返された。
◇過去の批判自らに
侵攻に先立ってロシアがウクライナに軍事介入した2014年、同国東部でマレーシア航空機が撃墜され、乗客乗員298人全員が死亡する惨事が起きた。プーチン政権は今も関与を否定するが、5カ国の合同捜査チームは地対空ミサイルが親ロシア派支配地域から発射されたと断定した。
プーチン氏は24年12月28日のアゼルバイジャンのアリエフ大統領との電話会談で、誤射だったかどうかに触れず「防空システムがウクライナのドローンを撃退していた」という状況だけ認めた。敵軍と間違えて第三国の民間機を攻撃したとみられる点は同じ。異なるのは10年前がウクライナ領空、今回がロシア領空だったことだ。
プーチン政権は14年当時、「ウクライナが民間機を飛行禁止にしなかった」と責任転嫁を図った。しかし、アゼルバイジャン機が着陸しようとしたロシア南部チェチェン共和国の空港が戦地に比較的近いにもかかわらず、民間機を受け入れ続けていた。「飛行禁止の予防策を講じるべきだった」(アリエフ政権関係者)という批判をロシア自身が浴びることになった。
◇ブラジルで解析
「ロシアは罪を認め、責任者の処罰と補償を行うべきだ」。アリエフ氏は29日の自国テレビのインタビューで、前日のプーチン氏からの陳謝に満足せず、さらに要求を突き付けた。逆に言えば、これら「条件」が満たされた場合、こじれた関係を正常化するというメッセージを送った可能性がある。
墜落したのはエンブラエル190型旅客機。飛行記録を収めたブラックボックスを現場で回収したカザフ政府は30日、製造国ブラジルに解析のため送ると発表した。アリエフ氏は「問題をもみ消そうとした」とロシアへの不信感を示しており、プーチン政権の介入を避けた国際的な調査で「撃墜」を裏付けられるかが焦点となる。
[時事通信社]
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