関税収入「当てにできず」=輸出に打撃、経済縮小―米専門家
【ワシントン時事】米シンクタンク「タックス・ファンデーション」のウィリアム・マクブライド副所長はインタビューに応じ、トランプ次期米大統領が関税引き上げを貿易相手国への「脅し」に使う場合、関税収入は減税の財源として「当てにできない」と明言した。一律的に幅広く導入されても財政赤字穴埋めの「特効薬にはならない」と述べた。
マクブライド氏は、トランプ氏が大統領選で掲げた最大20%の一律関税や、中国製品への追加関税により、「今後10年間で計3兆8000億ドル(約600兆円)の税収増になる」と試算した。だが、実際に関税が上がれば、輸入と税収が減るばかりか、「報復関税が確実にかけられ、米国の輸出に打撃となり、経済も縮小する」と警告した。
マクブライド氏は「米政府債務は先例のない高水準に達している」と懸念を示した。こうした中、トランプ次期政権と議会共和党は、レーガン元大統領以来の共和党の伝統である減税を目指すと同時に、同党議員の多くは財政健全化と債務圧縮を志向していると分析。「この二つの組み合わせをどう実行するのか、非常に難題だ」と語った。
次期政権は減税による経済成長で、財政赤字や債務を抑制する考え。ただ、マクブライド氏は第1次トランプ政権下で実現した大型減税で、法人税率が既に低水準にあると強調。2期目の減税による経済効果は「1期目ほどではない」と予想した。
[時事通信社]
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