米経済、インフレが焦点=利下げペースは鈍化―読めないトランプ政策・25年展望
【ワシントン、ニューヨーク時事】「経済は非常に好調だ。2025年も良い年になる」。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は24年末の記者会見で先行きを楽観。利下げペースを緩めつつも金融緩和を続け、景気を支える方針を示した。だが、トランプ次期政権の政策が読めず、インフレ再燃への警戒感がくすぶる。
米経済は個人消費がけん引し、足元で3%成長を続ける。トランプ次期大統領は大規模減税などによる成長拡大を目指し、「誰も見たことがない経済にする」と息巻く。中国のほか、同盟国に対しても高関税をちらつかせ、米国に有利な「ディール(取引)」に持ち込む考えだ。
ただ、関税引き上げは輸入物価の上昇を招くほか、貿易相手国が報復関税に踏み切れば、米輸出の打撃となって経済に跳ね返る。減税は議会で法案を通す必要があり、実現には時間がかかりそうだ。
三井住友銀行の坂本篤秀シニアエコノミストは「関税引き上げなど成長にマイナスとなる政策が先に出てくる」と予想する。ただ減税といった「プラスの政策もいずれかの時点で実現する」と語り、景気を後押しするとみている。
不確実性が高いのがインフレだ。24年11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%上昇と、伸びが2カ月連続で拡大。底堅い景気が続き、インフレ率の低下は足踏み状態だ。FRBの最新見通しでは、25年末のインフレ率が2.5%と、従来の2.1%から上方修正された。
このためFRBは、政策金利見通しについて、25年の利下げ想定回数を2回とこれまでの4回から半減させ、金融緩和のペースを落とす方針を明確にした。FRB内からは「インフレが再び鈍化したと確認できるまで、金利据え置きが望ましい」(高官)との声も上がっている。
関税や減税による景気過熱リスクなど、トランプ氏が掲げる政策はインフレ再燃を招くリスクが付きまとう。日系証券関係者は「CPIの前年同月比上昇率が3.0%を超えれば、FRB内で利上げ再開の議論が持ち上がる」と警戒している。
[時事通信社]
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