2024-12-30 15:13社会

「救助活動を第一に」=能登地震で指揮―前石川県警本部長

インタビューに答える細田正・前石川県警本部長=18日、仙台市
インタビューに答える細田正・前石川県警本部長=18日、仙台市

 能登半島地震の発生当時、石川県警本部長として陣頭指揮を執った細田正・宮城県警本部長(59)が30日までに、時事通信のインタビューに応じた。発災直後は道路の寸断に部隊の活動が阻まれたといい「救助活動を第一に考え、いかに迅速に取り組むかが問題だった」と振り返った。
 2022年8月の着任から約9カ月後に能登半島沖で最大震度6強の地震があった。「また地震が起きるかもしれない」。想定はしていたが、24年元日の地震は最大震度7を観測し、日を追うごとに増える犠牲者の数に「どこまでいくのか…」と不安を覚えたという。
 発生時、県内の警察署は当直体制で人手が薄く、救助に向かう人員確保や被害状況の把握に苦労した。崖崩れや倒木による陸路の寸断は、迅速な救助活動を阻んだ。犠牲者の死因には凍死も少なくなく「もう少し救助が早ければ助かったのではないか」と無念さをにじませた。
 観光名所だった「輪島朝市」は、火災により甚大な被害が出た。骨が炭化したためDNA型では身元が特定できず、発見された場所などから割り出して遺族側に引き渡したケースもあった、と振り返った。
 今後の課題に挙げたのが空路の活用だ。地震直後には多くの部隊がヘリコプターで被災地へ向かったが、現場には瓦などが散乱。プロペラの風で吹き飛ばす危険性があるなど着陸できる場所が限られていたといい、「空路を活用する際の運用について、事前に整備が必要だ」と訴えた。
 今年4月の異動で宮城県警本部長に着任すると、まずは東日本大震災で被害を受けた被災地を巡視した。「将来の石川もこんな景色になる」。着実に復興が進む光景を目にし、石川県の早期復興への願いを強くした。 
[時事通信社]

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