予算・識者談話
◇平時化方向も先行き不透明
末沢豪謙・SMBC日興証券金融財政アナリスト 新規国債発行額はリーマン・ショック前の2008年度当初以来の低水準だ。10年物国債の想定利回りも引き上げられ、歳出の平時化と「金利のある世界」に向けた内容となった。だが、「年収103万円の壁」の見直し幅が大きくなれば国債発行額は膨らむなど、政治情勢を勘案すると先行きは不透明だ。
教員や自衛官の処遇改善は必要だが、成り手が減る中では不十分。外部委託などの活用で教育の質を高めることや、防衛装備品の調達改革が必要だ。半導体支援は戦略として理解できるが「お金を付ければうまくいく」という容易な産業ではない。「EBPM(証拠に基づく政策立案)」の手法で政策を進める必要がある。
◇税収増も規律必要
小黒一正・法政大教授 賃上げなどで大きく所得税が伸び、税収が増える見通しとなったものの、日本の債務残高対GDP(国内総生産)比は先進国の中で最大。日銀の大規模な金融緩和の正常化で、利払い費が増えることを想定すると、財政規律を引き続き緩めてはいけない。
物価高対策などを目的とした予備費がなくなり、コロナ禍やその後のインフレによる特殊な状況から正常化する一歩を築けた。社会保障費は過去最大となっているが、2024年度当初からの伸び率は名目GDP成長率の範囲内で、財政健全化は進んでいる。25年度は新しい財政再建目標を決めなければならず、そこが次の正念場になる。
[時事通信社]
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