袴田さん捜査検証・識者談話
◇なぜ長期化、明らかに
渡辺修・甲南大名誉教授(刑事訴訟法)の話 袴田巌さんがなぜ長期の再審を経なければ救済されなかったのかを明らかにするもので画期的だ。検察と警察が一体となって袴田さんを犯人視し、自白を迫った状況も改めて浮き彫りになった。検察は証拠の捏造(ねつぞう)を否定するが、検察官のみの視点であり、弁護人や裁判官、市民も交えて検証を行うべきだ。取り調べで犯人と決め付ける心情がなぜ生まれたのか、再発防止に録音録画などは有効かについての検討も必要となる。
◇基本に忠実な捜査を
元検事の高井康行弁護士の話 初動捜査や証拠保全が不十分であることなど、指摘すべきところは指摘できているが、今後の対応策に関する踏み込みが少し足りない。例えば、「検察官は警察の取り調べの影響を遮断する措置が十分ではなかった」としているが、具体策は書かれていない。検察官が警察から心証を引き継いではいけないことは捜査の基本だが、袴田さんについては守られていなかった。基本に忠実な捜査をしていれば審理の長期化も防げたはずだ。
[時事通信社]
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