大統領弾劾審判に遅れも=検察役の訴追団が初会合―韓国
【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」の宣言を巡り弾劾訴追されてから21日で1週間。20日には、憲法裁判所の弾劾審判で検察役を務める国会の訴追団が初会合を開いた。ただ、尹氏は憲法裁からの書類の受け取りを拒否しており、審判が遅延する可能性が出ている。
訴追団は最大野党「共に民主党」など3党の議員と代理人弁護士の計28人で構成。戒厳宣言に重大な憲法違反があったと訴え、尹氏の罷免を求める。団長の鄭清来・国会法制司法委員長は20日の会合で「弾劾という歴史的任務を果たすため、きょうこの場に集まった。力を合わせ最善を尽くそう」と強調した。
弾劾審判の第1回弁論準備は27日の予定。憲法裁は16日以降複数回、関連書類を大統領公邸や大統領府に届けようとしたが、拒否された。憲法裁は尹氏に書類が届いたと見なして審理を進めるかどうかを検討する。尹氏はまだ弁護団を選任しておらず、審判の期間が当初見積もられていた最短2カ月より長引くとの見方が浮上している。
尹氏は内乱容疑の捜査にも応じていない。高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)などの合同捜査本部は20日、尹氏に25日に出頭するよう要請したと発表した。出頭要請は2度目で、拒否し続ければ、当局が身柄拘束に踏み切る可能性も指摘される。
韓国メディアによると、警察は20日、非常戒厳を宣言する直前の閣議に出席したとして、韓悳洙首相や閣僚ら計9人から事情聴取したと明らかにした。閣議出席者の多くは尹氏の宣言に反対したとされる。
尹氏の弾劾訴追を受けて大統領代行となった韓氏は、不安定な国政運営を強いられている。19日には、国会の過半数を占める野党主導で可決された農産物の価格保障法案など6法案に拒否権を行使。韓氏は「市場機能を歪曲(わいきょく)し、莫大(ばくだい)な財政負担を招く」と説明した。
ただ、共に民主党の李在明代表は20日の幹部会議で「国会の立法権を無視する行動だ」と反発。野党は、韓氏が拒否権を行使し続けるなら「引きずり降ろす」(共に民主党議員)として、けん制を強めている。
[時事通信社]
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