税制改正・識者談話
◇期待通りにはならない 星野卓也・第一生命経済研究所主席エコノミスト
「年収の壁」を123万円まで引き上げた場合の減税規模は0.5兆円程度と見込まれる。総額5兆円規模となった定額減税や低所得層向け給付金と比べ、単年度ではないが明確に小さい。手取りを増やす政策として注目を集めたが、与党案のままでは家計の所得増や個人消費回復への効果は限定的で、期待通りにはならないだろう。
一方、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の上限引き上げは、貯蓄から投資拡大への流れに追い風になる。「中小企業経営強化税制」の期限延長や優遇措置の拡充も、設備投資を促して稼げる中小企業を育てる面では望ましい。ただ、企業の国内での設備投資は最近伸びが緩やかで、どれだけ効果を発揮するかは未知数だ。
◇物価上昇織り込み適切=是枝俊悟・大和総研主任研究員
123万円への課税最低限引き上げは、再来年ぐらいまでの物価や賃金の上昇を織り込んだ適切な金額だ。給与所得控除で実際に減税になるのは年収113万円から190万円ぐらいまでの700万~800万人程度とみられる。減収見込み額は基礎控除の引き上げと合わせて年間0.6兆円。恒久減税という形になるため、減税額の7~8割は消費に回るだろう。
国民民主党の問題提起を契機に、最低賃金の上昇により深刻化していた学生の「年収の壁」が大幅に引き上げられることになったことも民主主義のプロセスとしてよかった。今後は与党が考えた水準に野党の納得が得られるのかという熟議が求められる。
[時事通信社]
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