松山、銅メダルに大きな価値=友人の「五輪落選」で奮起―男子ゴルフ・クローズアップ
プロゴルフで日本男子の先頭を走り続ける松山英樹(32)にとって、2024年は充実の1年だった。米ツアーで2年ぶりの勝利を含む2勝を挙げて通算10勝に到達し、パリ五輪では銅メダルを獲得。夏のスポーツの祭典には、他競技の友人への思いも胸に臨んでいた。
開幕直前、「今年仲良くなった人が五輪でプレーできなくなった。出られなかった人の分もしっかり頑張りたい」と言った。強い思いがにじんだが、パリではその名前を明かさなかった。「(一方的に話して)彼といざこざを起こしたくない。帰ったら(メダルを)見せつけてやろうと思う」と冗談めかして友人を気遣った。
相手はハンドボール男子の東江雄斗(31)=ジークスター東京=だった。4月ごろに知り合い、ともに「人見知り」と言う二人は意気投合。帰国するたびに食事を共にし、五輪もよく話題になった。松山は出場を決断しかねていたときに東江から「一緒に出ましょう」と言われて心が動いた。「パリに行くための最後の一押しだったような気がする。(主将だった)彼の代表落ちはすごくショックだった」
日本代表の重みを感じて臨んだ五輪では、米ツアーで圧倒的な強さを見せるスコッティー・シェフラー(米国)らとメダル争い。メジャー大会のような緊張感の中、最終ラウンドの終盤はチャンスを決め切れない苦しい展開ながら、3位をもぎ取った。
五輪後、東江は松山と会って銅メダル獲得を祝福した。「活躍は自分のことのようにうれしかった。『(東江の落選で)逆に燃えた』ということも言ってくれた」。年末にシーズンを振り返った松山も、「彼にメダルを掛けることができてよかった」と穏やかに笑った。
[時事通信社]
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