子供たちに防災意識を=東北大、被災地タイで授業―インド洋大津波から20年
【パンガー(タイ南部)時事】22万人超の死者・行方不明者を出したスマトラ沖地震・インド洋大津波から20年となるのを前に、東北大災害科学国際研究所の保田真理講師(68)=兵庫県三木市出身=が、被災地のタイ南部パンガー県の学校で防災授業を行った。東日本大震災での津波被害を教訓に始まった授業は、「災害弱者」になりやすい子供たちの防災意識を高めるのが狙いだ。
2004年12月26日に発生した大津波で、タイの死者・行方不明者は8600人を超え、特にパンガー県は被害が甚大だった。保養地として知られる近隣のプーケット島などでは、観光客ら日本人28人も犠牲になった。
保田氏はタイ政府主催の実地調査やシンポジウムに参加し、今月11日に2回、パンガー県の学校で小中学生を対象に授業。津波に関するビデオを見たり、災害発生時の行動をスタンプラリー形式で学習したりした。インド洋大津波を機に、津波を研究するため東北大に留学したタイ人のサッパシー同大准教授(41)が通訳を務めた。
参加した中学2年の女子生徒スニサさん(14)は「津波が起きた時にどうすればいいか、学ぶことができた。家族や友達、知人に伝えたい」と話した。
保田氏の防災授業は、東北大のプロジェクトとして13年に始まった。東日本大震災の津波で児童と教職員の計84人が犠牲となった宮城県石巻市の旧大川小学校の事例を教訓に、災害時に子供が自ら必要な行動ができるようにすることを重視。宮城県や静岡県などのほか、タイ、インドネシア、フィリピン、米ハワイ州で、これまでに計422回行っている。
保田氏は「今後は学校の先生だけでも防災授業ができるように、持続可能な形にすることが大事だ」と指摘。子供たちに防災の大切さを伝える人材育成の必要性を強調した。
[時事通信社]
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