協力と報復、両にらみ=トランプ関税、貿易制限求める声も―カナダ
【ワシントン時事】カナダが、トランプ次期米大統領が打ち出した25%の関税に対し、国境警備への協力と報復措置の両にらみで対応策の検討を急いでいる。地元メディアによると、数億カナダドル(数百億円)を投じる国境警備強化の計画策定を進める一方、関税が発動された場合の対抗策も議論。エネルギーや鉱物資源の貿易制限措置などを求める声が出ている。
カナダのトルドー首相は11日、各州知事と会合を開き、政府・州が国境警備強化へ協力していくことを確認したほか、対米報復措置についても意見交換した。フリーランド副首相は「何人かの州知事が、不当な関税に対するカナダの断固たる措置を強く支持した」と説明。原油や鉱物資源の対米輸出制限を求める声が出たと明らかにした。
米国は、トランプ第1次政権が締結した貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の下、カナダとの貿易を拡大。同国は第2位の貿易相手国となっている。原油輸入の約6割をカナダに頼り、アルミニウム、銅、ニッケルなども輸入している。
トランプ氏は先月、カナダとメキシコに対し、合成麻薬フェンタニルや不法移民の米国への流入が止まるまで、両国製品に25%の関税を課すと発表した。カナダはこの問題を巡るトランプ氏との合意を優先し、関税や輸出制限をかけ合う「貿易戦争」を避けたい考え。
ただ、トランプ氏は自身のSNSでトルドー氏を米国の「州知事」呼ばわりするなど挑発を続け、「貿易戦争」を懸念する様子はない。米石油業界では、国内の石油精製設備やパイプラインに限界があり、海外からの原油や石油関連製品の輸入継続が不可欠との声が出ている。
[時事通信社]
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