イスラエル人入植者、ヨルダン川西岸の町村を襲撃
【フワラ(パレスチナ自治区)AFP=時事】イスラエルが占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸で4日、イスラエル人入植者が二つの町村を襲撃し、複数の建物に放火してパレスチナ人1人を負傷させた。イスラエル軍が、政府の許可なく建設された「アウトポスト」と呼ばれる入植地で強制排除を実施したのがきっかけだという。≪写真は、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の町フワラで、イスラエル人入植者によるものとされる攻撃を受け、自宅の損傷を確認するパレスチナ人男性≫
イスラエル軍は、ヨルダン川西岸ナブルスの東にある村ベイトフリクに「イスラエル国民が侵入」し、「建物に放火して投石した」と発表した。
現地当局がAFPに明らかにしたところによると、事件が起きたのは4日未明だという。
イスラエル軍によれば、ベイトフリクに隣接するアウトポストに対し、同軍が3日夜に強制排除を実施したことへの反発だという。入植者はこの時も当局と衝突。投石で警察官2人を負傷させた。
ベイトフリク村議会のナヒ・ハナニ副議長はAFPに対し、イスラエル人入植者数十人が4日未明に同村を襲撃し、車2台に放火したと明らかにした。
「村の食料品店にも火を付けられた。別の住宅1棟も軽い被害を受けた」と付け加えた。
イスラエル軍は、入植者はナブルスの南にある町フワラでも「建物に放火し、投石した」と伝えている。
フワラ町役場の広報担当、ラナ・アブ・ハニア氏はAFPに対し、同町が4日未明にイスラエル人入植者の襲撃を受け、町民1人が負傷したことを認めた。
「車2台と民家1棟も燃やされた。(イスラエル)軍によって、中古車販売店の展示駐車場も破壊された」と補足した。
イスラエルの軍と警察は共同声明で、ベイトフリクとフワラ襲撃の捜査の過程で、容疑者8人を逮捕したと発表。治安部隊への襲撃、衝突への関与、器物損壊の容疑だとしている。
イスラエル軍によれば、ナブルスに近い別の町ルジェイブでも3日夜、同軍と「約20人のイスラエル人」が衝突したという。
ヨルダン川西岸では約300万人のパレスチナ人が暮らす一方、49万人のイスラエル人も入植地で暮らしている。こうした入植地は国際法違反と見なされている。
昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルを越境攻撃したのをきっかけにガザでの戦闘が激化して以降、西岸では暴力事件が増加している。
パレスチナ自治政府(PA)保健省によれば、西岸では昨年10月7日以降、イスラエル軍またはイスラエル人入植者によって少なくとも788人のパレスチナ人が殺害された。
イスラエルの公式統計によれば、同期間に西岸でパレスチナ人に殺害されたイスラエル人は少なくとも24人に上る。
イスラエルは1967年以降、ヨルダン川西岸を占領している。【翻訳編集AFPBBNews】
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