バイデン氏次男の恩赦に批判=「父親」と「大統領」の葛藤―トランプ氏が多用の可能性・米
【ワシントン時事】バイデン米大統領が次男ハンター氏(54)に恩赦を与えたことに、身内の民主党からも批判が高まっている。家族を特別扱いして「法の下の平等」を貫かなかったと受け取られ、トランプ次期大統領が就任後、2021年1月の連邦議会襲撃事件で服役中の支持者らに、恩赦の権限を多用する可能性があると懸念する声もある。
「大統領は(ハンター氏を起訴した)司法省を信じているが、政治が(司法の)プロセスに影響を与えたとも信じている」
ジャンピエール大統領報道官は2日、バイデン氏が過去に何度も「恩赦はない」と発言してきたこととの矛盾を記者団から追及され、こう答えるのが精いっぱいだった。
ハンター氏は6月に銃の不法購入・所持罪で有罪評決を下されたほか、9月には脱税罪を認めた。通常なら重罪で起訴されることはないにもかかわらず「標的にされたのは、彼が私の息子だから」(バイデン氏)というのが、恩赦を与える理由だ。
報道官はバイデン氏が週末に一連の決断をしたと説明したが、ニューヨーク・タイムズ紙は「6月の有罪評決の直後から、恩赦の決定を巡り悩んでいた」と伝えている。トランプ氏による政敵への「復讐(ふくしゅう)」がハンター氏に及ぶことも懸念していたとされる。
バイデン氏の決断について、民主党のベネット上院議員は「司法制度が公平・平等であるという米国民の信頼をさらに損なうものだ」と批判。同党のピーターズ上院議員も「自分たちの利益のために正義を曲げることを他の者たちにも促す」と指摘し、トランプ氏が恩赦を多用することへの警戒をあらわにした。
トランプ氏はSNSで、恩赦には議会襲撃事件で服役中の自身の支持者も「含まれているのか」とやゆしている。
民主党を離党した無所属のマンチン上院議員は2日、CNNテレビに「同じこと(息子への恩赦)をしない父親は知らない」と理解を示した上で、トランプ氏の全ての罪状にも恩赦を与えるべきだと語った。トランプ氏は4件の刑事事件で起訴されたが、連邦法違反に問われた2件は取り下げられた。残り2件は州法違反のため、大統領に恩赦の権限はない。
[時事通信社]
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