はやぶさ2、続く挑戦=打ち上げ10年、新たな任務
小惑星探査機「はやぶさ2」が2014年の打ち上げから3日で10年を迎えた。約6年かけて小惑星「りゅうぐう」の砂などを収めたカプセルを地球に投下した後は、別の小惑星の接近観測に向けた「拡張ミッション」を継続。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の三桝裕也・拡張ミッション運用リーダーは「設計寿命を超え、いつ壊れてもおかしくないが、まずは『健康で』という思いで日々運用している。その上で、りゅうぐうの時のような面白い探査ができれば」と意欲を見せた。
14年12月3日に鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げられたはやぶさ2は、18年6月にりゅうぐうに到着。19年2月と同7月の2回、表面への着陸・試料採取(タッチダウン)を行った。2回目は人工的にクレーターを作った上で着陸し、地下物質の採取にも成功した。
地球に届けた砂などの試料は、目標の50倍以上となる約5.4グラム。生命の原材料となるアミノ酸やリボ核酸(RNA)の一部などの有機物のほか、液体の水などが見つかり、生命や水の起源を探る研究は今も進められている。
はやぶさ2は現在、31年7月の到着を目指し、直径約30メートルと小さく、高速で自転する小惑星「1998 KY26」へと向かっている。こうした小天体は詳しい観測例がなく、100年に1度の頻度で地球に衝突する恐れもあり、災害を防止する「プラネタリー・ディフェンス」の観点からも成果が注目される。
ただ、打ち上げから10年が経過し、航行を支える4基のイオンエンジンのうち3基に不具合が生じている。現時点では31年の到着は可能だが、残る1基も不調に陥った場合には対処が必要になるといい、慎重な運用が続けられている。
開発時から計画に参加している三桝さんは「はやぶさ2を続けたい思いは誰よりも強いので、最後まで面倒を見る」と強調。全体のプロジェクトマネジャーを務める津田雄一JAXA教授から任された拡張ミッションについて「津田さんたちの代わりはできないが、そこだけは誰にも負けないようやっていきたい」と話した。
[時事通信社]
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