「地方の医療に悪影響」=原告の医師、負担増懸念―マイナ保険証
マイナ保険証への対応義務化を巡る訴訟で、原告らは医療機関の経済的な負担増加に懸念を示している。原告の医師佐藤一樹さん(61)は「廃業する医師もおり、地方医療に悪影響が出る」と危惧する。
2022年に改正された厚生労働省令は、患者がマイナ保険証による資格確認を求めた場合は応じなければならないとし、確認に必要な体制整備を医療機関に義務付けた。
佐藤さんによると、マイナ保険証の読み取り機が無償提供されるなど一定の支援はあるが、セキュリティー対策の費用などは自己負担となる。慣れない患者の対応に職員が付きっきりになることもある。
佐藤さんが理事を務める東京保険医協会のまとめでは、今年5月までの1年半に258人の医師が廃業し、うち9%がマイナ保険証への対応の義務化を理由に挙げた。佐藤さんは「看過できない数だ。特に地方の歯科医院などは経営的に厳しいと聞く」と話した。
訴訟では、廃業した医師らが陳述書を提出。「体制整備は負担が非常に大きく、閉院を余儀なくされた」「義務化がなければ、あと10年は診療を続けられた」と訴えた。
佐藤さんは、デジタル化がもたらすはずの効率化やコスト削減などの効果はなく、かえって負担が増えていると主張。「デジタル化自体には反対しないが、マイナンバーカードありきの体制は一度中止すべきだ」と語った。
[時事通信社]
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