議会女子トイレ使用で論争=トランスジェンダー初当選受け―米
【ワシントン時事】11月5日の米連邦下院選で、出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーであることを公表する民主党のサラ・マクブライド氏(34)が初当選したことを受け、議事堂内の女子トイレ使用を巡る論争が起きた。多数派の共和党は「生物学上の女性」だけに利用を許可することを決めたが、特定の個人を狙い撃ちするような決定過程に、「残酷だ」(民主党上院幹部)と批判の声も上がった。
共和党の女性下院議員ナンシー・メース氏は18日、議員・スタッフ用のトイレや更衣室などの施設に関し、出生時の性別に従って利用することを義務付ける下院規則改正案を提出。「マクブライド氏に発言権はない。この人物は生物学上の男性だ」と記者団に述べた。これに対し、マクブライド氏は「国民が直面する問題に解決策を持たない極右過激派の企てだ」とSNSで非難した。
共和党のジョンソン下院議長は19日、記者団に「男性は男性、女性は女性だ。男性は女性にはなれない」と断言。20日には声明で、男女別の施設について、メース氏の改正案に沿って運用する方針を明らかにした。施設管理権限は議長が持ち、マクブライド氏も「同意はしないがルールに従う」と述べた。
トランスジェンダーの権利は保守派とリベラル派で価値観が衝突するテーマの一つ。保守的な傾向が強い共和党支持者には権利拡大に反対する意見が多い。トランプ次期大統領は大統領選中、トランスジェンダーの女子スポーツへの参加を禁じると約束し、支持者の喝采を浴びた。
民主党は性的少数派の権利擁護を掲げるが、現実には極端な少数派の権利教育が児童や保護者に不安を与え、大統領選や上下両院選で敗北の一因になったとの見方も出ている。特に激戦区選出の議員にとっては対応が難しい問題だ。
[時事通信社]
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