2024-11-18 23:17TOPICS

ロシア、東部制圧へ攻勢=ウクライナ防戦一方―19日で侵攻1000日

グテレス国連事務総長(左)と会談するロシアのプーチン大統領=10月24日、中部カザン(AFP時事)
グテレス国連事務総長(左)と会談するロシアのプーチン大統領=10月24日、中部カザン(AFP時事)

 ロシアがウクライナ侵攻を開始して、19日で1000日目を迎える。プーチン大統領は、ウクライナ支援に後ろ向きなトランプ次期米大統領が「24時間以内に戦争を終わらせる」と豪語してきたことを踏まえ、所期の目的である東部ドネツク州制圧を果たし「勝利」を主張できるよう、攻勢を強めている。防戦一方のゼレンスキー政権は、ロシアが演出する対話ムードに流されないよう国際社会にくぎを刺す。
 ◇電力インフラ標的
 米メディアは17日、ウクライナに供与した長距離ミサイルによるロシア本土攻撃をバイデン米政権が容認したと報じた。AFP通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は18日、「一段の緊張激化を引き起こす措置を講じようとしていることは明らかだ」とバイデン政権を非難した。
 ただ、長距離ミサイルは占領地のロシア軍に対し既に使われており、ドネツク州の戦局転換にはつながらないとの見方が強い。ロシア国防省は18日、同州で新たに1集落を奪取したと発表。ロシア軍は同州以外への攻撃も継続しており、17日には冬の到来前に全土の電力インフラを狙ってミサイルなど210発を撃ち込んだ。18日には南部オデッサを攻撃し、少なくとも10人が死亡した。
 ウクライナのシビハ外相は、プーチン氏を「戦争犯罪者」と糾弾。和平を望んでいるというのはまやかしで、大規模攻撃こそ「最近になって彼に電話したり、訪ねたりした全員に対する本当の答えだ」と警鐘を鳴らした。名指しは避けたが、10月に訪ロしプーチン氏と会談したグテレス国連事務総長や、今月15日に電話したドイツのショルツ首相を念頭に置いているのは明らかだ。
 ◇戦死者1.5倍
 ウクライナが8月以降、ロシア西部クルスク州への越境作戦に戦力を投入する隙を突くように、ロシアはドネツク州で、これまでにないペースで支配地域を拡大している。自軍の犠牲をいとわない捨て身の突撃を敢行しているもようで、英BBC放送などの調査報道では、ロシア軍の1日当たりの戦死者数は今秋、前年比1.5倍に達した。
 ロシア軍が前線に大軍を投入できるのは、事実上の軍事同盟を結んだ北朝鮮に支えられている面もありそうだ。派遣された北朝鮮兵1万人以上は大半がクルスク州入りし、ウクライナ支配地域の奪還に向け既に戦闘に参加。米ブルームバーグ通信は17日、北朝鮮は10万人まで派兵可能とみられるとする関係筋の話を伝えた。
 ◇足並み揺らぎに危機感
 「ロシアは公正かつ永続的な平和への唯一の障害だ」。先進7カ国(G7)首脳は侵攻1000日を前に声明を出し、対ロ制裁の継続と揺るぎないウクライナ支援を確認した。だが、トランプ政権の再来によって、G7の足並みが「揺らぐ」ことへの危機感も透けて見える。
 ドイツの首都ベルリンでは17日、反体制派指導者の故アレクセイ・ナワリヌイ氏の盟友や妻ユリアさんらが呼び掛け、数千人規模の「反戦デモ」が行われた。「本当のロシアはプーチン氏ではなく、われわれだ」。ただ、本国へ波及するには至らず、影響は無きに等しい。 

17日、ベルリンで「反戦デモ」を率いるロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏の妻ユリアさん(前列中央)(AFP時事)
17日、ベルリンで「反戦デモ」を率いるロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏の妻ユリアさん(前列中央)(AFP時事)

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